20090930

きょうという日に

い想い出をつらつらと書き綴っておりますが、ひとまずこれで、紹介しておきたいお店は出揃いました。京都以外は。
ここからは、京都のお店と想いを書いていきます。はじめに、思い出深い10店を。その後に、京都へ移り住んでから通うようになった店を。

相変わらず、季節感も無く時系列も整っておりませんが、所詮は白昼夢のようなログですから、お気になさらずに。タイトルが変わったり、本文に加筆修正することもありますが、それもまた夢の話しですからね。
リンク、ブックマーク等はこちらへお願いします。


http://kaeldesign.blogspot.com/


また、食べログでは、もう少し詳しく書いております。
お店の地図を確認する場合などにどうぞ。

素敵な出会いを


織り込まれた季節は艶やかに、輝く想いは宝石のように。華やかに、でも淑やかに。その甘さは直筆のラブレターのように温かな、小さな物語を綴る。
乙女の想いと頬笑みを、かの王妃に例えて。

チョコレートで有名なガトードボワですが、その特徴は、季節を感じる素材と素材のマリアージュ。より美味しく、さらに美しく感じられるようなハーモニー。
たとえばこの、キルシュ香るアントワネット。乙女の柔肌のようなババロワには、フランボワーズペパンとピスターシュを。フワリと香る可憐さに、ゴールド輝くルージュのソースが妖艶で、その名に相応しきパフュームをたたえていた。


奈良
GATEAU DES BOIS A LA MAISON ガトー・ド・ボワ
http://www.gateau-des-bois.com/

20090929

sweet


甘い香りに誘われて。
ただ其処に、座りたかっただけなんだけどな。君の隣に。


名古屋
GODIVA ゴディバ
http://www.godiva.com/

追憶の風


花咲く工芸茶や、頬笑みこぼれるチョコレートも好きだけど、通う理由はコレ。
麓にはサクサクのフィヤンティーヌが落葉のように舞い、山嶺にはマロンコンフィの冠を頂くモンブラン。この中のクレームシャンティが、心を温かくしてくれる味なのです。

ふれた唇に季節を。吐息の中に優しさを。
秋風に、寒さよりも温かさを感じて。
深まるほどに、愛しくて。


福岡
The Peninsula BOUTIQUE & Café ペニンシュラ
http://peninsulaboutique.jp/

ある食卓の物語


星が囁くテーブルに見る幻想は、限りなく優しくて、見慣れていたはずの光景の中に、未知の歓びを発見する。知っているのに知らなかったもの。気付かずにいた神秘。ただ、それを優しく教えてくれる紳士が作りだすものは、感じれど触れることが出来ない光や、香れども目に見えない微風や、器により姿形を変える水のように。
私達は、まだまだこの星を知らない。そっと示された小さなサジェスチョンは新しい空想を生む。その一皿に何を見るのかは、人それぞれ。でも必ずそこには優しさがあった。
吐息からこぼれた星の欠片は煌めいて、暗闇を照らしてくれると、私は信じている。

巨大建造物のような建築美を感じるエクレール。残念ながら新宿高島屋にあったガニェールは閉店してしまったけれど、数々の美味しさと感動よりも、記憶に残っている出来事が1つ。
ある晴れた日曜日に、テーブルを囲む家族が一組。何気に視界に入ったのだけど、小さな子供が父親からテーブルマナーを教えられていた。その時、少年の前にあったのが、このエクレール。
慣れぬナイフとフォークで切り分けて、ひとくちパクリ。その時の少年の顔と、父親の笑顔は、やさしさに溢れていたと思うんだ。


東京
La Patisserie PIERRE GAGNAIRE ピエール・ガニェール

20090928

蒼天月花


詩片のような1杯を。恋文のようなひと時を。君という永遠を。
舞い踊る茶葉はポットで歌い、物語をカップへと注ぐ。唇を近づけると薫り立つ、泡沫の夢。
煌めくお茶に大海を見て、翼を得た魂を冒険へと誘う。

仮面舞踏会、魔法の島、マルコポーロ、島々のヴァニラ、etc.
マリアージュフレールには素敵なお茶が多く、どれにしようかと毎回悩みます。吐息が香る、薔薇や蓮も良いですね。
初夏の雨上がりに訪れた時は、蓮の紅茶を使った木苺のシブーストと、ヴァニラと花々が香るイスカンダルを。

ゆらめく午後の微睡みに 千紫万紅の夢を飲み干す
王国の幻は 今も甘く咲く花のように
かつて愛した君の想い出に 黄金の王冠を


京都
Mariage Frères マリアージュ・フレール
http://www.mariagefreres.com/

20090927

永遠の花


贅沢を。優雅なひとときと空間を。何かの為に、誰かの為に。または、何も無いと思っていた今日を、愛しく感じる為に。

BVLGARIのカフェ&ショコラトリー。喧噪を逃れ、静かな店内へ。または、テラスで風と光を感じながら、時にはこんな、おだやかな1日を。
併設されたショコラトリーに並ぶのは、宝石のようなショコラ。公爵の微笑のようなバルサミックや、淑女の吐息のようなアマレット、仮面舞踏会のようなヴィオラも好きですが、秋にはこのマローネを是非。
溶けていく、豊穣なる大地の歌声を。


東京
Il Cafe, Il Cioccolato イル・カフェ、イル・チョコラート
http://www.bulgarihotels.com/

20090926

空から降る薔薇は


舞い降りた天使は薔薇を纏い、その翼の羽ばたきは青空を愛で満たし、吐息は街角に恋を生む。故にパリは花の都。
La Vie en rose.
君の唇からこぼれる薔薇の花びら。
あなたの左胸に咲く、薔薇の名前を教えておくれ。

ラデュレ。説明は不粋かもしれませんね。
他にも薔薇をあしらったものはありますが、サントノーレ・ローズ・フランボワーズ を。
世界が憧れるのも、納得です。


東京
LADURÉE ラデュレ
http://www.laduree.fr/

20090925

希望の先へ


夢の中で見た景色?それとも童話の中の1ページ?テントウムシ達の会話に、しばし耳を澄ませてみてはいかがでしょうか?
デザイン性の高いエクレアを作り出したフォションの、エクレール・コクシフルールです。
楽しいことに、それぞれのテントウムシの下は異なるフレーバーでして、ローズ・スミレ・オレンジの華やかな香りが楽しめます。春から夏へと続くメロディのよう。

虹はテントウムシがみつけるの
ぼくらはカタツムリの背にのって
七色の橋をわたるんだ
その先には
しあわせの王国があるんだよ

あなたも、目を閉じて、夢の国へ。


東京
FAUCHON PARIS LE CAFÈ フォション
http://www.fauchon.com/

20090924

楚々として


豊かなる土地を巡り歩き、出会った素材で香り高い品を作り出す。丁寧に、丁寧に、素材に真摯に向き合って、伝えるべき言葉を紡ぎ出していく。
点と点を結び、線として。残していきたい想いを、密やかに。

美しい和菓子を気楽に味わえる場所は、実は京都にも少ないのです。鈴懸の落ち着いた店内では、季節の品々を楽しむことが出来ます。
視覚と季節と銘を楽しむ事により味わえる和菓子。その魅力を堪能しましょう。


福岡
鈴懸 すずかけ
http://www.suzukake.co.jp/

夏への扉


A7とは、パリから南フランスはマルセイユへと続く道。通称、太陽の道。バカンスへと向かう人々は皆、笑顔でこの高速道路を南下していく。
シェフがお店を構える際に、 ここを訪れる人々が笑顔でありますようにと祈り、アセットという店名を掲げられたそうです。
お店のシンボルである蝉は、プロヴァンスでは幸運のお護り。南フランスの香を、福岡に伝えたいと願って。

クラシカルで丁寧な仕事をされているフレジェや、子供向けに甘味と香料を抑えた日本向けのケーキたちも紹介したいけれど、まずはこのアイスクリームから。
名前はヴェルコール。レジスタンス作家と同名の、プレ・アルプと呼ばれる山岳地帯の名前。
クルミを散りばめたキャラメルアイスクリームは、険しくも雄大な岩肌を照らす、夏の陽光を想わせる。


福岡
Patisserie Glacier A7 アセット

20090923

恋する惑星


輝くクレマに星のアロマ。笑顔のバリスタがいれる珈琲は、おだやかな優しさに溢れていた。だから稀に此処を訪れるのだけれど、庭よりも天井を眺めている事の方が多い気がする。
煌めく五色の彩雲に、私は何を見ているのだろうか?

国際天文年にちなんだ、レクラとの期間限定コラボレーション、惑星アフォガード。深淵の闇を思わせるエスプレッソに溶けていく、純白のミルクアイス。それはまるで、彼方の星が微睡みの中に見る夢のように。


大阪
RIHGA ROYAL HOTEL OSAKA - Main Lounge リーガロイヤルホテル
http://www.rihga.co.jp/osaka/

20090922

Sweet Velvet

Rock is Life.
それが叫ぶような祈りであれ、暗闇で独り吐き捨てるように呟くようであれ、ロックには願いがある。明日を生きる為の願いが。
そして、必ず朝はやって来る。
Good morning, Good evening, and Good night.
新しい朝には焼き立てのパンと珈琲を、穏やかな午後には甘いケーキと紅茶を、夢見る夜にはチョコレートと会話を。明日のために、今日の楽しい1日を。
丘の上、教会の近くにある英国で、ロックが流れるひとときをお過ごしください。例えばほら、こんなケーキと。

ライム香るムースとミルクチョコのノヴァーナは、Smells Like Teen Spiritみたいなケーキ。カート・コベインの優しさと、彼が残した手紙を思い出した。


大阪
BROADHURST'S ブロードハースト
http://www.broadhursts.com/

20090921

礼拝の黄昏に


祈り、捧げるように。願い、叶いますようにと天を仰ぎ、ふりそそぐ青に包まれて。
このテーブルに、感謝と祝福を。ここに静謐なる歓びを。

ケ・モンテベロ。その店名は、セーヌ川のシテ島にたたずむノートルダム大聖堂を望む場所、モンテベロ海岸通り。
だから、壁面に淡く光るステンドグラスが表すものは、優しき聖母マリアの慈悲だと思うのです。
そこに並べられたケーキ達。それを聖餐式と例えるのであれば、この甘さは、香りは、感謝と悦び。静かなる愛だと感じます。

美しきケーキ達の紹介は、また次の機会に。


大阪
Pâtisserie quai montebello ケ・モンテベロ
http://www.quaimontebello.com/

20090920

甘い吐息の中に

誇りにして欲しい。福岡に住まれている方々は、この店の存在を。とにかくそれが言いたくて。
まずは、店名を冠したジャックを味わって欲しい。それは夢見る瞳の輝きを生むケーキ。甘さの中に見え隠れするものや、波のように風のように通り過ぎる感覚。組合わされた素材は1つになり、物語を紡ぎ出す。残り香に包まれて味わう余韻は、ゆっくりと心に染み渡る。
そして出来る事ならもう1つ。季節のケーキか焼き菓子を。2つめを口にした時、きっと気付かれると思う。
…なぜ、甘いのか?
それは、シェフが、ジャックという店が、幸福と豊かな人生を知っているから。

目をとじて見る夢は、幻かも知れない。
でもね、
目を開けても、世界はこんなにも輝いている。
君の瞳に煌めく世界の美しさを、僕は知っているよ。


福岡
Jacques ジャック

20090919

其処から見える風景


職人と呼ぶに相応しいシェフが、こつこつと、こつこつと、毎日真面目に積み上げてこられた味。それは今では雄大な山のようにそびえ、皆がその姿に、頂きに、憧れるようになったのでは無いだろうか?
でもきっと、シェフはもっと上を、もっと広い世界を見られているのだろう。しっかりと、大地に立って。

栗の素材感と、イメージにある安心感。当たり前に思える美味しさは、日々の真剣な手仕事から生まれるのだと、このモンブランから教えられました。スタッフ皆さんで栗拾いへ出掛けられたそうです。
いただきます。
ごちそうさま。
そして、ありがとう。
素直に感謝の言葉が出てくるケーキでした。


福岡
フランス菓子16区
http://www.16ku.jp/

20090918

Macaron surprise


日本らしい季節感。パリの、流行の模倣では無い、フィロソフィを感じるマカロン。日本で、日本人が洋菓子を作る意味。難しく考える必要は無くて、要は私達(日本人が)が口にした時に、歓びと憧れを感じられるかどうか。ただそれだけ。
通販も行っているけれど、出来れば本店まで足を運んでもらいたい。きっと何かに気付かれると思うから。
たとえばほら、このグランマカロン。夏のある日に並んでいたグリオットとピスターシュのマカロンは、本店限定なのです。

初夏の爽やかな太陽と風を吸い込んで、
木陰でしばしの昼寝を楽しむ。
濃厚な太陽の季節がやってくる前に、この心地良さに揺れよう。
青空の夢を、
黄金の木漏れ日に包まれた夢を見よう。
丘を駈ける羊は雲へと変わり、微睡みは幸福へと変化していく。
豊かな午後。
ひと時の、すばらしき充実感。
夢の中で、歌うほどに。


福岡
ARDEUR アルデュール
http://ardeur-tries.cocolog-nifty.com/

20090917

Falling...


味の深度が深い。それも、暗い海のようにでは無く、見上げた満月に魅せられて、夜空の深淵へと落ちていく感覚。小麦と砂糖の甘さ。その当たり前の美味しさに気付かされた。
その甘さは、蕾が開く時の音に似ているのかも知れない。人知れず咲く白い薔薇。目覚めた世界も夢の中であるかのように、フワリと香る芳香。
予感や気配よりも確実だが、まだ実感を得られないような、不思議な感覚。
…あぁ、それは恋のはじまりと同じなんだ。

ピュイダムール。愛の泉という題名のオペラから名付けられた、ポピュラーなケーキ。ありふれた愛のはじまりは、奇跡とも思える恋の予感から。


兵庫県西宮市
pâtisserie au temple du goût オ・タンプル・デュ・グゥ
http://www.du-gout.com/

20090916

La Primavera


煌めく宝石に等しきお菓子たち。それはグラマラスな輝きを放ちながらも、どれもが可憐。 そして穏やかに奏でられるハーモニーとコントラストは優雅で、美食への愛と誇りを感じる。
GLAMOROUS(魅力的な)+GOURMANDISE(美食)
=GLAMOURDISE
美味しさを堪能するためには、会話すらも甘く美しく。

パッションフルーツのクリームと苺を、薔薇のマカロンでサンドしたフラゴラは、王妃マリーアントワネットではなく、マリア・テレジアの娘としての可憐さ。
華やかで優しい少女が見る夢は、春風に舞う煌めきに包まれて。


兵庫県神戸市
GLAMOURDISE グラモウディーズ
http://glamourdise.jp/

20090915

幸せのカノン


志は高く天へ、気持ちは優しく空のように広く。雄大な空の青さに吸い込まれ、心は翼を得て空高く舞い上がる。
monter au plus haut du ciel
略してモンプリュ。ソラは果てなく水平線の向こうまで続き、僕たちを包み込んでいる。見上げた空の優しさに、彼方の恋人を慕うように。
今日と明日を繫ぐもの。彼方と此方が繋がる場所。変わり続ける日常に、変わらぬ想いを。

メレンゲの優しさと力強さを堪能出来る、ムラング・シャンティ。青空に浮かぶミルキーな雲は、笑顔をたたえて歌い出す。


兵庫県神戸市
montplus モンプリュ
http://www.montplus.com/

20090914

天使のアリア


聖なる天使の羽ばたきに似て、ただただ夢と憧れしか見えなくなるサントノーレ。想うは遠い巴里の街。いつか其処で甘いひとときを。

溺れるほどの夢や愛に似たサヴァランや、生命の躍動感溢れる春の息吹を感じさせるフレジェや、しっかりとした焼き菓子やショコラの数々。どれを挙げようかと迷ったけれど、私の魂をフランスの青空へと導いてくれるのは、きっとこのサントノーレ。
そのクレームシャンティーはセラフのようで、舞い降りた天使の翼の幻を見せてくれる。
サンタンジェール。聖天使教会の鐘の音が、彼方への憧れを募らせる。


東京
LA VIEILLE FRANCE ラ・ヴィエイユ・フランス

20090913

新しい物語

ふわりと香る、ホワイトチョコレートとイチジク。キラリと光るマーマレイドの酸味がアクセント。ドーナツに感じる優しさは、きっと大人も子供も一緒なんだろうなぁ。

白を基調とした、洗練されたインテリアとエクステリアのネイン。 でもその中で輝くお菓子たちは、優しく繊細。 暖かな日だまりのような、 手編みのレースのような、 ゆったりと流れる時と光が、穏やかな1日をプレゼントしてくれることでしょう。
朝の目覚めに、お昼の憩いに、夕の楽しみに、そして夢の前の煌めきに。美味しいヒトクチの幸せを。


東京
Neyn ネイン
http://www.neyn.com/

20090912

Beautiful World


陽光に、薄く透明な羽を広げ、空想のソラへと飛立とう。どこまでもどこまでも高く、虹の向こう側にある王国を目指して。
世界は美しいかい?今日も、明日も、明後日も、僕らの世界は美しいかい?
夢の先に明日がありますように。だから神様、良い夢を見させてよ。

カカオエットに並ぶのは、憧れや空想の旅路へと誘うケーキ達。その名前は、訪れてみたい場所であったり、お気に入りのカフェがある街であったり、美しい季節の物語や、夜空に輝く星であったり。
半身変わりのデザインや、日本では馴染みの薄い組合わせも多く、視覚と味覚からストレートに楽しめます。
だからこそ、その美味しさの先を考えてしまう。何故?どうして?
シェフが作品に込めた想いを探し、夢の中で追いかけてみるのも、1つの楽しみ方ではないでしょうか?


東京
Pâtisserie Cacahouète Paris カカオエット パリ
http://www.cacahouete-paris.jp/

20090911

闇に煌めいて


黒夜の雲間から差す、透き通るような月明かりに照らされて、静かに佇む夜桜。桜の花は星風に舞い、ずいぶんと散ってしまったけれど、闇に漂う香気が魅惑的で、こうして私を深夜の散歩へと誘い出す。
春と共に去りゆく妖花の残り香は狂おしく、夜のせせらぎに流れゆく花びらは、切なくも愛しくて。
今宵、時を忘れて別れの宴を祝おう。また来年、再会出来るようにと願い。

しっとりと季節を想う、ルーレ・プランタン。桜咲く頃は桜餡と桜リキュールで、花が夜空に散った後はラズベリーとキルシュのクリームに変わるそうです。美味しさの中にある美しさ。情緒を感じるケーキです。
桜は、騒ぐのでは無く、愛でるものですから。


東京
patisserie de bon coeur ドゥ・ボン・クーフゥ
http://dbc.apartment-key.com/

20090910

リボンをつけた天使

女が幸福に満たされる為に、貴男が幸せを味わう為に。それは感謝と笑顔の為に存在するもの。
美味しいと感じられるコトが、ただそれだけで素晴らしい人生だと思えるケーキ達。好きの先には幸せがあるのだと、確信させてくれる味です。だから是非、あなたもヒトクチ。この美味しいケーキを召し上がれ。

最近は縁遠くなりましたが、京都でオススメを1店だけと問われたら、私は迷う事無くこちらの名前を挙げます。
路地裏から始まるヨーロッパのファンタジーのように、ひっそりと輝く魔法のお店。小さな宝石達を、あなたの心へ。


京都
Pâtisserie Exquise パティスリー・エクスキーズ

20090909

初恋の想い出を

い出の中、緑の丘を駆け抜ける春風に、帽子を押さえて微笑む君。あの時の言葉はなんだったろうか?
眩い陽射しの中で、覚えているのは君の唇と笑顔だけ。
青空に、白い雲流れて。

姉小路通りを好きになったのは、この店があったから。
ヒトクチ。ただそれだけで、京都を好きになれる場所。訪れる度ごとに感じる優しさは、やわらかな太陽の光に似た、シトロンの香に包まれるからだろうか。
思い出が生まれ続ける場所は、きっと未来へも繋がっているのだと、甘い会話と吐息の中で気が付いた。


京都
Citron Sucré シトロン・シュクレ
http://speem.com/citron/

20090908

王様と王女様


宝石のような庭。私が感じたイメージは、マリーアントワネットが愛した、小トリアノン宮の庭園。
華やかな香り漂えど、クラシックなイメージも大切にするセンス。
奥深いやすらぎと、遠く煌めく星のような、地下深く眠る宝石の原石のような、夢と驚きを秘めたケーキ達。
1つ1つのケーキも素晴らしいのですが、ショーケースの中の煌めきにこそ、この店の真髄が満ちているのではないでしょうか。
“AU GRENIER D'OR”
金の蔵。まさに宝の蔵と呼ぶに相応しいお店ですが、同時にその名前は、オーナーシェフパティシエである金蔵(キンゾー)さんの名前でもあります。
伝統の中に遊び心を。だからこそ楽しめる場所なのだと、訪れる度ごとに感じます。

写真はガレット・デ・ロワ。シンプルに、丁寧に、でも力強くてしっかりとした、古典的なお菓子。それは王冠が相応しい、まさに王様のケーキ。
女王…では無く王女のように可憐なケーキ達は、またの機会に。


京都
SALON DE THE AU GRENIER D'OR オ・グルニエ・ドール

20090907

詩人の丘


空高く舞い、太陽へと歌う雲雀。その翼を休める寛ぎの場所が、ひっそりと此処にある。詩を書き留めながら、午後の紅茶を楽しもう。力強く羽ばたく為に、大地の香を吸い込もう。

散策中に見つけたサロン・ド・テ。パティスリーでは無く、サロン・ド・テなのは、お茶を(もちろん、紅茶に限らずコーヒーやフレッシュジュースでも良いのだけれど)楽しむ場所だから。
オーナーパティシエールが作るケーキと、吟味された飲みものとのマリアージュは、ここがサロンである理由を教えてくれる。
楽しむ場所であり、嗜む場所であり、皆が集う場所。明日の想い出の為に。


名古屋
salon de the ALOUETTE アルエットゥ
http://salon-alouette.net/

20090906

理由(わけ)


麗らかな春の陽射しに微笑んで、おだやかな午後に語ろう。何気ない会話を。ただ君と、いつもの甘い話しをしよう。
そうだね、あとは紅茶があれば良いかな。

先に名古屋市の覚王山店を挙げましたが、シェ・シバタの本店は岐阜の多治見市。両店共に限定商品がありますが、多治見店へ出掛ける最も大きな理由がこれです。
軽く甘いショートケーキのクレーム・シャンティよりも、しっとりと春を感じさせてくれるフレジェのクレーム・ムースリーヌ!
…だけでは無くて、表面のピストレが好きだから。ハートは多治見店だけなのです。

タダ、ソレダケノタメニ?

いいえ、その為にこそ、訪れる意味があるのです。トキメキを与えてくれるもの。それに煌めきを感じられる幸福。これ以上の幸せはありません。
更に、運が良ければ、角の苺の断面がハート型になるのです。こんなに嬉しい事はありませんよ。


多治見
chez Shibata シェ・シバタ
http://www.chez-shibata.com/

こころときめくもの


恋にときめく乙女心のように、甘酸っぱく薫る気まぐれな微風は、いたずらに微笑んで。
煌めく瞳が放つ恋の矢は、クピドよりも正確に、恋人達の心へと突き刺さる。願わくば、甘い甘い幸せを。君が天使でも、たとえ小悪魔だとしても。

キルシュ香るヴァニラのババロワとベリーソースの組合わせは、パティシエお得意の定番。驚きでは無く安らぎを与えてくれるのは、そこに夢があるから。
何故、人々は甘いものを求めるのか。その答えは此処にあります。

つまらない話しはヤメてさ、もっと君の笑顔を見せてよ。
美しい瞳の輝きと、優しい歌のような声を聴きたいんだ僕は。


名古屋
chez Shibata シェ・シバタ
http://www.chez-shibata.com/

20090905

イノセンス


白兎が捧げる祈りは無垢なる調べ。ルビー色の瞳に映る未来は、全てを包み込む優しさに溢れ、軽やかなステップで春のワルツを踊り出す。

抹茶のエクレールやミルフイユ、小麦とバターが豊かに薫るヴィエノワズリー、キッシュやオムレツも素晴らしく美味しいカフェだけど、思い出すのはこの可愛いラパン。
常に夢の国へと導いてくれる白兎は、すでに私の心の住人なのだろう。

ラパン


名古屋
pâtisserie AZUR アズュール
http://www.geocities.jp/azur_a_go_go/

20090904

星と星をつなぐもの

々の食べ物、アンブロシア。それがカカオの別名。だからこそショコラは高貴であり、恍惚とさせる香気を放ち、我々を魅了する。
エヴァン卿が仰られた言葉、
『一度、庭を持ってみるべきだ。』
それは神々の庭を指し、哲学を語るべき宇宙を知る為だという意味なのかも知れない。
恋よりも濃い想いを君へ。艶やかなる夜の帳に似た黒き輝きは、全てを包み込む優しさ。
夜空の星と星を繫いで神話を創るように、ショコラは人と人の間に物語を紡ぎ出す。
ショコラ。その甘い神秘は愛。

チョコレートつながりでもう1店。
サダハル→エルメ→マルコリーニで私が甘いものに目覚めたのは確かだけれど、ヴァレンタインと誕生日のプレゼントに貰う一粒のショコラは、当時の彼女と等しく愛していたのかも知れない。
そんなエヴァンから、好きな1品を。

マカロンショコラ・アランシェンヌ
落葉を踏みしめながら歩く、冬の散歩道。
深く冷たい夜空を見上げ、舞う粉雪に感じる暖かな想い。
白く凍る吐息にオーロラの夢を。


東京
JEAN-PAUL HEVIN ジャンポール・エヴァン
http://www.jph-japon.co.jp/

20090903

とけていく神秘

れの原点である、サダハルアオキとピエールエルメ。そしてピエールマルコリーニ。そもそも最初に興味を持って目指したのは銀座店のチョコレートパフェで、それが売り切れだったから、サダハルとエルメに出会えたのです。
順番は変わってしまいましたが、初めて口にした時の感動は、遠雷轟く黄昏の景色に似て、幻想を呼び異界への扉を開くほどの驚きでした。

ふわり
舞い降りたのは天使
ふわり
訪れたのは刹那
ふわり
感じたのは楽園に残した記憶
歌と祝福の後に聞こえる鐘の音と
闇に煌めき夜を満たすものよ永遠に
恋い焦がれる孤悲よりも
尽きせぬ愛を
たとえそれが幻だとしても。


東京
Pierre Marcolini Chocolatier ピエール・マルコリーニ
http://www.pierremarcolini.jp/

20090902

心に咲く花

艶なるイスパハンを初めて口にしたのは、確か2006年。まだエルメの名前すらも知らなかった頃、何処で目にしたのか、何故か印象に残っていた薔薇のケーキ。
探し求めて辿り着いたそれは、薔薇の色香の中にフランボワーズとライチのトキメキ。そのヒトクチは、まるでキスをするように…。



ひとひらの薔薇に光る雫。
その輝きが表すものは、宝石と称えられた古都への憧れか、それとも悦びの涙だろうか。
貴女の香りに包まれる度に惑う、恋の駆け引き。いっそ溺れてしまえば、どれほど楽か。
恋い焦がれるほどに華やかに、忘れ得ぬほど艶やかに。
しかし、妖艶な香気の中に潜む少女の可憐さが、天使の様にも、悪魔の様にも感じられる。

…だから僕は、恋に堕ちた。


東京
PIERRE HERMÉ PARIS ピエール・エルメ
http://www.pierreherme.co.jp/

20090901

透明な想いを


しきセーヌ川にかかる観覧車。 ホワイトチョコが見た、夢の中の風景。
巡る3つの太陽は、 宮沢賢治も空に見たであろう時のワルツを踊り、 憧れと想い出と少女の吐息から生まれた甘い雲は、 夜の果てに煌めく永遠の王国へと旅をするのです。
溢れるメロディーを、 紡ぎ出される詩を、 あなたのセンスで感じてください。

サダハルアオキからもう1品。とにかくこのヴァランシアは、ホワイトチョコのやさしい風味につきるケーキです。ふんわりとした雲をイメージさせる、ホワイトチョコの香りと口どけ。ノワゼットのダクワーズも美味しくて、笑顔をもたらす夢のケーキです。


東京
pâtisserie Sadaharu AOKI paris サダハル・アオキ
http://www.sadaharuaoki.com/

風薫る幽玄に

として颯爽と、清けし竹林を想わせるシルエット。エレガントな、馥郁たる頬笑み。グラマラスな眼差しに、憂うこと無き吐息。
遠い日本を夢想するパリの心と、日本の歴史に流れる精神を問うケーキ。このバンブーを口にした瞬間に感じたものが、 あなたにとってのフランス(パリの香り)であり、 あなたに流れる日本の記憶なのだと思います。
時の香り。時の味わい。
このケーキが、アナタに頬笑みをもたらすことを願って。



はじめて訪れた丸の内のサダハルアオキで、偶然このバンブーに出会った事により、私は激しく甘いものを好む様になりました。だから此処は、はじまりの場所なのです。
オペラで大切なのは、カフェの苦味では無く、ビスキュイジョコンドの頬笑みなのだと解釈したバンブー。オペラはコーヒーケーキではなく、誇り高きオペラ座のケーキなのだから。
時に、凛々しき侍の横顔を。
時に、一輪の牡丹の花を。
時に、しなやかな虎の気配を。
時に、恋い焦がれし残り香を。
出会う度に感じる幻視と幻想は、まさにオペラ座の夜を想わせる。
この緑のオペラに限らず、込められたサダハル氏の想いを探してみましょう。


東京
pâtisserie Sadaharu AOKI paris サダハル・アオキ
http://www.sadaharuaokiparis.com/

はじめまして

都のお菓子に魅せられて通ううちに、私は旅行者から住人へとなりました。魅力的な京都のお菓子を中心に、和菓子洋菓子を問わず、甘いブログになればと願います。
美味しさと美しさに対する、感謝と感動を。好き嫌いでは無く、好きだけを。呟くように、囁くように、綴っていきたいと思います。
まずは、京都に落ち着くまでに訪れたお店の中から、地域ごとに数店づつご紹介いたします。


菴 iori