20101231

ゆく年くる年


の瀬の、寄せては返す徒然は、無常の静寂に輝く泡沫(うたかた)。心静かに耳を澄ませば、暗闇に浮かぶ小さき舟が見えるだろう。
流れ着くあても無く、ただ僕たちは流されて、微睡みに明日の夢を咲かせていく。それが未来だと信じて。
見えない時を、刻める心があるならそれで、僕は構わないよと嘯いた。

ゆく年くる年(Tigre et Lapin)





去年までは長久堂さんとのコラボであった、季節の和菓子。今回から、亀屋良長さんとのコラボに変わりました。何が出てくるか、どんな景色を見せてくださるのか、楽しみでなりません。
さて、色々とあった本年も、今日で終り。残念ながらいくつかのお店が無くなり、同じくらいの新しいお店と出会った年でした。不思議な縁でフランスへ渡ることもあり、個人的には楽しい1年であったと思います。
京の徒然 いとお菓子
来年も、よろしくお願いします。良いお年を!

20101230

此処に祈りを


しい食卓の、最後の一切れ。クリスマスまで繰り返される、祈りと感謝の日々。今日の楽しさと温もりに、明日の希望と輝きに、甘い祝福を捧げよう。
汚れなき純白の雪に似た、白き衣に包まれた御子。幼子を愛する聖母の慈悲と、祝福する天使たちの歌声を想いながら、夜の眠りに就こう。優しい夢を、見るために。

シュトレン(Stollen)


神戸
フロイン堂 ふろいんどう
http://www.geocities.jp/koapin1225/huroindou.html



去年、20種類程のシュトレンを食べ比べて、最も僕の好みであったものを、今年はじっくりといただくことにした。
仄かに、しかし華やかに咲く様々な薫りと、しっとりと夢に沈んでいく感覚は、最も祈りに似ていると感じたから、僕はフロイン堂のシュトレンを好きになったと思うんだ。
ちなみに、下のラベルにはいくつか並べてみたけれど、実際のところ、それらが入っているのかどうかは定かでは無い。更に言えば、ベリーのような可憐さや、うっとりとする淑やかさ、そしてなんとも表現し難い優しさのようなものが、ぎっしりと詰まっていた。夜食の後の、家族の語らいには最適かも知れない美味しさだ。
さて、徐々に日本にも浸透してきたシュトレン。本来は、クリスマスまでのアドベントの期間に、夜の祈りとして、一切れずつ食べるそうだ。
文化的食育的背景どころか、信仰心も、家族という単位すらも失った僕たちは、軽くペロリと平らげてしまう。だって、美味しいからね。
これを不信心と呼ばれるならせめて、僕は甘い言葉と祈りを此処に残そう。喜びと感謝と、ごちそうさまとともに。

20101229

陽光に咲く


り来る春の陽に、咲き誇るを夢見て眠る、紅色の花。降り積もる雪が美しいのは、その下に春が眠っているからだと、ささめく北風が教えてくれた。
おやすみ。暖かな夢たちよ。

冬籠(Rêves d'hiver)


京都
虎屋 とらや
http://www.toraya-group.co.jp/

20101228

夢の中


の見えない夜、闇に抱かれた森の中を、影と共に歩いた。星明かりに照らされた空は美しく、銀河の煌めきが水晶の歌のように響いていた。
地図に無い小径の先で、妖精に教えてもらった場所へと辿り着いた僕は、そこで美しい花と出逢った。青い光の中に佇む君の、幻の記憶という花に。

フォレノワール(Forêt noire)


大阪
Pâtisserie quai montebello ケ・モンテベロ
http://www.quaimontebello.com/

20101227

お菓子の国のアリス


よりも甘く、恋よりもときめいて、溺れるように飛び込んだ。溢れる香りの中へ。
甘いだけでいいじゃない。幸せになりたいの。
夢よりも儚くて、虹よりも綺麗なもの。希望が咲くこの国へ、花の翼で羽ばたいて行くの。
すべての願いが叶う、真実の夢の国へと。

ストロベリーランド(Strawberry land)


京都
Magasin Des Fraises マガザン・デ・フレーズ
http://ichigonoomise.com/
Le salon sélectionné ル・サロン・セレクショネ
http://blog.ichigonoomise.com/?eid=1276731

※店内写真撮影了承済みです



クリスマスイヴはのんびり過そうと考えていたけれど、
『私を楽しませなさい!』
その一言で僕は、アリスを導く白兎になってみた。…いや、お茶会だから、帽子屋だろうか?
とにかく、その日には夢のあるケーキが必要なので、お気に入りのお店にお願いして、素敵な_そして巨大な!_ショートケーキを注文したの。
『いかがかな? お気に召していただけただろうか?』
なんて格好つけてみたけれど、実は僕の方が喜んでいたりするんだ。
ちなみにコレ、10inchのホールケーキに等しい量はあるんだよ(笑)

20101226

Good Night


に舞う粉雪を、白い窓から眺めていた。夜の雪は、祈りと同じく白く降り積もり、虚空の星々の光を集め、淡く暗闇を照らしていた。
名も知れぬ誰かの、凍えてしまった祈りを集めて、僕はそっと月の元へと返した。世界が平和でありますようにと、最後の1切れに願いを込めて。

クリスマス・プディング(Christmas pudding)


京都
Le Sucrier ル・シュクリエ
http://lesucrier.web.fc2.com/

20101225

Stille Nacht


を照らす灯火は、月の光と星の祈り。それが私達の全てであり、救いであった。
聖なる夜に、感謝と祝福を。静かな、小さき祈りを此処に。

Silent night, holy night.
Son of God love's pure light.
Radiant beams from Thy holy face
With dawn of redeeming grace,
Jesus Lord, at Thy birth.
Jesus Lord, at Thy birth.

ツリー(Christmas Tree)


20101224

夜に咲くルビー


しい夜に、紅い微笑みが咲いた。満月が過ぎ去るように、君はゆっくりと瞳を閉じていく。
朧げな会話の後の微睡。ねぇ、お願い。甘い夜を引寄せて、聖なる夜を抱きしめて。

木苺とショコラのタルト(Tarte Chocolat Framboise)


京都
Citron Salé シトロン・サレ
http://speem.com/citron/

20101223

冬の星座


空に白く、君の吐息輝いて、小さな小さな星が生まれた。
僕らが交わす言葉や、溜息すらも、金や銀の星々を生む。その星と星を繫ぎ、2人の星座を描こう。家路を照らす、物語と共に。

スフレ・チーズケーキ(Souffle cheese cake)


20101222

Where is the moon?


を探して見上げた空は、厚い雲に覆われていて、僕らが嘆くよりも早く、さめざめと雨が降り始めた。
月が欠けるのは、僕らが幻想に落とした影に他ならず、遠い雲と闇の彼方にはいつも、美しく輝く真実の月が佇んでいる。
それでも今宵、夜空に月を求めた僕は、ここにその姿を映して楽しんだ。

抹茶粟ぜんざい(Le zenzai à la crème mâcha d'azuki)


京都
月ヶ瀬 つきがせ
http://www.tsukigase.jp/

20101221

La vie solitaire


面に落ちた白椿が、静寂に波紋を描く。広がり、儚く消えゆく無音は、満月の調べに似ていた。その甘い香りに魅せられて集う鯉たちの鱗は、僕には夢に散る花びらのように思えた。
見上げた空に居なくても、僕はいつも君を想うよ。

椿(camélia)



20101220

happy birthday to all


つの愛を、ここに灯そう。
今までと、これからと、アナタが生まれた聖なる日に、甘くきらめく感謝と祈りを。
happy birthday to you.
名も知らぬ、今日が誕生日のすべての人へ、限りない祝福を。
平和を願い、僕は毎日、誕生日を祝うんだ。

苺のショートケーキ&キャンドル・クッキー
(Gâteau aux Fraises & Sablé)


20101219

Cendrillon


しき人よ、魔法をかけてあげよう。君が、君自身の美しさに気付けるように、月と、銀の鏡の力を借りて、零時の魔法をかけてあげよう。
さあ、姫君よ、ゆっくりと目を開けて。そして探すんだ。君だけの王子を。この魔法が解けないうちに。
…自信を持って。君がいるから、王子は王子でいられるのだから。

ルリジューズ(Religieuse)


京都
Magasin Des Fraises マガザン・デ・フレーズ
http://ichigonoomise.com/
Le salon sélectionné ル・サロン・セレクショネ
http://blog.ichigonoomise.com/?eid=1276731

※店内写真撮影了承済みです

20101218

3時のおやつ


C

'est l'heure du goûter.
美味しいってなんだろう?
ころころと笑う君を思い出しながら、たまには1人で3時のおやつを。
…うん、間違ってもそれは、舌の上だけで踊らせるものじゃないよね。美味しいと楽しいは。

シュークリーム(Chou à la crème)


京都
Le Sucrier ル・シュクリエ
http://lesucrier.web.fc2.com/

20101217

カラメルの想い出


空を染めていく、琥珀色の想い出たち。淡い記憶に埋もれていく僕たちは、君が誰だったかも忘れてしまう黄昏。
ふと薫る閃きが、心の闇に咲く。それが夜空の星になるから、僕たちは夢見ることが出来るんだ。甘い想い出とともに。

ポワール・キャラメル(Poire au caramel)


京都
AU TEMPS PERDU オ・タン・ペルデュ
http://www.bellecour.co.jp/

20101216

さよならのあと


角に佇んでいた秋は去り、低い空には冬が、朧な風景と戯れていた。優しかった晩秋の残り香は、冷たく透明な冬の光へと溶け、ゆっくりと消えていく。
それでもたまに思い出すのは、まだ君の温もりを愛しく想えるからだろう。もう、夢の中でしか逢えないけれど。

モンブラン(Mont Blanc)


京都
Atelier La Page Blanche アトリエ・ラ・パージュブランシュ
http://www.alpb.jp//

20101215

the White rabbit


のはじまりに待ちくたびれて、君に出逢ったあの日まで、僕は居眠りをしていたの。
時間が無い、遅れちゃう!
なんて嘘さ。驚いて飛び起きた無様さに、照れていただけだよ。時間なんてたっぷりとあるのだから。
…もっとも、君に恋してからは、立ち止まっている暇なんて無いのは本当だよ。
この恋は、さらに甘くなっていくんだ。

アリスのショートケーキ(Gâteau d'Alice)


京都
Magasin Des Fraises マガザン・デ・フレーズ
http://ichigonoomise.com/
Le salon sélectionné ル・サロン・セレクショネ
http://blog.ichigonoomise.com/?eid=1276731

※店内写真撮影了承済みです

20101214

What you waiting for?


P

lease, kiss me again...
あなたのキスで氷は溶けて、眠っていた時間は、再び鼓動を始めるの。花咲くような、甘い香り。雪よりも淡くて温かく、星よりも遠く煌めくもの。逆さのハートを抱えて、白兎が走り出したわ。
えぇ、夢なんかじゃないのよ、私の恋は。

アリスのショートケーキ(Gâteau d'Alice)


京都
Magasin Des Fraises マガザン・デ・フレーズ
http://ichigonoomise.com/
Le salon sélectionné ル・サロン・セレクショネ
http://blog.ichigonoomise.com/?eid=1276731

※店内写真撮影了承済みです

20101213

La plume du cygne


空に咲く天華はふわりと芳しく、風にちぎれて舞う花びらは、まるで白鳥の羽根のようだった。
広げた手のひらに舞い降りて、溶けていく淡雪。不思議と冷たさを感じる事は無く、むしろ温かく思えた。夢のような幻に、僕は迷い込んでしまいそうだ。
風に舞う花の中に君を見つけ、僕は優しく抱きしめる。この日、冬は静かに舞い降りた。

ガトー・マロン(Gâteau au Marron)


京都
Citron Salé シトロン・サレ
http://speem.com/citron/

20101212

Dream Afterglow


の余韻が、煌めく吐息に香る。僕達は、想い出と呼ばれる欠片を探し、残り少ない時間の中で拾い集めた。
淡く儚い眼差しと、ゆっくりと離れていく指先。ねぇ、お願いが1つだけ。最後に、別れのキスを、唇に。

Mousse au Champagne(ムース・オ・シャンパーニュ)


京都
Citron Salé シトロン・サレ
http://speem.com/citron/

20101211

陽だまり


を集め、祈るように微睡む君は、ひだまりに咲く黄金の夢。やさしい想いが、窓辺に溢れていた。
君の暖かな眼差しが眩しくて、嬉しくて、ぼくは眼を細めて微笑む。2人の夢が、光の中で手を繫いだ。

KINAKO(きなこ)


京都
Patisserie petitjaponais プチジャポネ
http://plus5.jp/pj/

20101210

see you on the moon


で逢いましょう。夜空を見上げて君は、悪戯な笑顔で囁いた。
月の渚、夜の向こう側で僕達は、誰も知らない夢を見る。
2人だけの星空に、2人だけの星座を描いて。

ティラミス(Tiramisu)


京都
菓子 cheka チェカ



動物園の北側、法勝寺町にある洋菓子店で、2Fはカフェになっている。その素敵な雰囲気の店内や、美味しいお菓子の数々(そして器たち)は、君に実際に見てもらうとしよう。明日にでも、散歩がてら出掛けてごらんよ。
冬の19時。閉店後に外へ出るともう真っ暗で、壁の向こう側では動物達がお喋りをしていた。見上げると綺麗な星々が輝いており、西の空には細い月が浮かんでいる。それはまるで、夜の世界へと沈んでしまった太陽を追いかける、妖精の舟みたいに優しく光っていた。
…追いかける?
いやきっと、太陽が待たされているんだ。優しい月の女神にね

20101209

diablillo


は可愛い小悪魔。妖艶では無いけれど、何故か僕を魅了する。祈りは届かないし、願いは聞き入れられない。でも、同じ夢を見てくれる。
冬の夜に寄り添う黒猫のような、悪戯なショコラ。目醒めるシェリーか、夢見るホットワインか。あなたはどちらを選ぶのだろうか?

ガトーショコラ(Gâteau au chocolat)


京都
Bar Picos バル・ピコス
http://www.barpicos.com/

20101208

Il être dans la lune


人達はラファエルの祝福を受ける。1つの誘惑と2つの選択の後に訪れる、小さな楽園。2人だけの天国。新たなる、ヘルメスとの誓い。この恋に、白い翼と約束を。
two of cups
2つの杯を1つの愛で満たす喜びは、甘いショコラの夢のように。

…それでも僕はうわのそらで、君の笑顔と、甘いひとときを楽しんでいた。その記憶は、昼間の白い満月のように儚げで、誰も知らない花のように美しかった。

コース仕立てのアシエット・デセール
 2つのショコラショー(Chocolat Chaud, Lait & Noisette)


京都
SALON DE THÉ AU GRENIER D'OR オ・グルニエ・ドール

20101207

SANCTUS


なるかな、聖なるかな、聖なるかな。
三位一体のアリアにしてアンサンブル。合わせた手のひらは一対の翼であり、君はいと高きところの天使。この素晴らしき詩に、賛美と祝福を。あなたの優しさと祈りに、愛の香りと奇跡を。

サンミシェル(Saint Michel)


京都
pâtisserie Tendresse タンドレス
http://kyotocake.com/

20101206

花の葬列


花繚乱の海へと溺れるように
深く甘い闇へと花葬された
腐敗することの無い我が軀を
美しき花々が浸食していく
目覚めることの無い夢を
薫り続ける永遠を。

…天国へ行くには死が必要だが、夢を見るのに眠る必要は無い。

トロワリビエール(Trois Rivieres)
 & ロンサカパXO(Ron Zacapa XO)


20101205

山吹の夢路


れゆく茜の静けさに、笹鳴きの声が木霊する。落ちていく太陽は最後の黄金を投げ、山々を照らした。一瞬、光り輝く春の幻を見たような気がしたが、あれは狐の仕業だろうか?
落葉の下で、眠りゆく大地は静かに薫る。鶯の詩が聴こえる日まで。

きなこ


京都
今西軒 いまにしけん

20101204

小春日和


風にも凛とした、庭の南天が美しかった。
束の間の青空。雪に映える赤い実は、まるで兎の眼のようで、ならばこの尖った葉は、兎の耳であろうか。
白い吐息の君の指先を、そっととって手を握ると、君はほのかに頬を染めた。

師走“南天”


20101203

月と狂言師


G

ive me shadow, put on my crown.
夜の夢幻に闇を積重ねて、仄暗い光へと辿り着く。漆黒に光を纏い、月へと昇天する我は、失われた太陽の温もりを知る。
眼差しに光を、吐息に闇を。訪れた永遠に、まだ誰も知らぬ、最後の花を捧げよう。

生チョコレート大福


大阪
菓匠 日月餅 にちげつもち
http://nichigetsumochi.jp/

20101202

銀の朝に


待月の空は澄み渡っており、昨夜の月も、穏やかなる水面に遊ぶように浮いていた。夜であれ闇であれ、晴れておれば心地良いものだ。
戯れの後、眠れぬ夜は明けて、秋の名残に霜降る朝。それでも僕は、まだその美しさに魅かれている。君の優しさと、重ねた季節の温もりに。
見上げれば、西の空の果てへと、金色の月が沈んでいく。君の夢に、僕の半身を残して。

銀杏餅



20101201

月のエトワール


い夜の幻か、朧に目覚めた暁に、月の残り香を発見して、遠く煌めく錦を眺めていた。
薄暗い紫の闇に吐く息は白く、凍てついた星が零れるようだ。
あぁ、そうか。それで月の香りを感じたのだ。あの初霜に、月の吐息に。

落葉の霜


京都
嘯月 しょうげつ

京都
sione シオネ
http://si-o-ne.jp/

京都
Mesda nu kyad メスダヌキヤド
http://www.kyad.jp/