20100418

春霞


ばかりで無く、心までも染めてくれた桜の花よ。美しく敷き詰められた花の筵が、甘い風に舞い上がる様は、なんとも言えぬ美しさがある。桜よ、白い花が薄紅色に見えたのは、この淡い恋心故の幻であったのだろうか。それとも、春の陽気が染めてくれたのだろうか。
香気に満ちた風に乗って、私の心も空へと昇るようだ。

モチモチとしているのに、花吹雪のように儚い道明寺の口どけが、淡い恋心のようなこし餡の余韻と重なり、想い出だけを残して静かに消えていく。
仄かに薫る残り香が、桜の姿を瞼に蘇らせてくれた。

桜餅


京都
聚洸 じゅこう