余
韻にひたる、花の思い出。夢にまで咲く愛しさは、桜ゆえの可憐。悲しみではなく、尽きぬ恋心を。別れではなく、約束を。儚き夢幻に咲き誇る、永遠の桜よ。音も無く震える心はたまゆらに、ひとすじの温かい涙を流した。
目を閉じてそっと、優しい春にサヨナラのキスを。
花時雨 したたる余花に 香り咲く
余花
京都
聚洸 じゅこう
serenity of mind becoming a person who is identified with the clouds in the sky and the stream below.
風
に消える想い出は、花のように美しく。夜に舞う風は、何処かまだ春の匂いを残していて、ふと見上げた月の光は、桜の花びらと同じく、淡く優しく揺れていた。雲
が何で出来ているか知っているかい?緑
色の風の中、青空を見上げて旅立つ君よ。花の別れに涙を残し、色濃く輝く新緑の明日へと手を振ろう。溢れた雫は光にはじけ、彼方の虹へと生まれ変わる。輝
く瞳を閉じればふんわりと、心に香る、想い出の花。名も知らぬその花と共に蘇る、幼き日の記憶。夢見た憧憬と、永遠なる時へと舞い降りる羽音が聞こえたような気がして、笑顔が自然と溢れた。窓
を照らす歌に誘われて、少女は寝室を抜け出し、夜の森を訪れた。そこには、月影の木漏れ日に目覚めて輝く、妖精の花が咲いていた。夢の中で見る夢は、やはり夢なのだろうか? それとも、それこそが真実の世界なのだろうか?苺
の丘をふんわりと、風が優しく撫でていく。春を告げる小鳥たちは、名も無き花々とともに、輝く野山に祝福の歌を捧げた。月
の涙が星になるなら、この浮かび上がる幻想は、月の女神の溜息だ。瞳
を閉じること無く、春霞に遊ぶ白い月。青空に咲く春の香りは、光の世界を眠りへと誘なう。春の宝石を君にあげよう。白昼夢から目覚めても、この幸せが続くように。
真
紅の口づけを、愛しき女神の微笑みに。もっと花を咲かさせるの。だからまだ秘密だよ。
静
かに降る雨の中を走り、雨宿りをした。ふと見ると、花弁がひとひら、君の髪に咲いていた。空
ばかりで無く、心までも染めてくれた桜の花よ。美しく敷き詰められた花の筵が、甘い風に舞い上がる様は、なんとも言えぬ美しさがある。桜よ、白い花が薄紅色に見えたのは、この淡い恋心故の幻であったのだろうか。それとも、春の陽気が染めてくれたのだろうか。春
の水色に咲く桜。ピンクとスカイブルーの春霞。淡くときめく恋心。P
échés Mignons.霞
に揺れる八重桜。歌われては九重に咲き、花雨に濡れては十重に匂う。春
に舞う桜ひらり。桜
が彩る夜の街を、ひとり歩いた。闇に舞い上がる花吹雪。想い出は散りゆくけれど、涙や切なさよりも強く香る希望を感じて、月明かりの道を、未来に咲き誇る桜を見上げながら歩いた。仙
境に咲き、朧に揺れる夢幻の桜。こ
ろころと笑う声に似て、ころんと丸められた桜餅。艶やかなその姿に、雨に濡れる桜や、落花流水の色香を重ねて。柔
らかに春を包み込んだ、花香る贈り物。微
風薫る春の遠景。見渡せば、浮世の現も夢と変わらじ。寝ても覚めても蝶の如く、ひらりひらりと、ふわりふわりと、花を求めて彷徨う。風
に誘われて、名も知らぬ花に出会ったような、不思議な感覚。声無き歌に魅せられて訪れたのは、儚き逢瀬の絵巻物であったのだろうか?眺
めれば、淡い夢のような桜の姿。すっと黒文字を入れると、中には華やかな粒餡が咲き誇る。それはまるで、春霞の中に立ち現れた、鮮やかなるまぼろし。夢幻に誘う静かな香気に、遠野物語に見る迷い家を思い出した。青
々とした葉を揺らし、そよ風は空へと昇っていった。幾