20091017

心の匂い

麗しく甘美なお菓子をいただき、ときめき、夢に溺れ、とけていく夢幻から醒めたあと。そこに感じるのは“あはれ”であったり“をかし”であったりするのですが、最近見たものが、心の匂い。
パティスリー・タンドレスパティスリー・エスにて考え始め、ふと気付いたこと。友人に連れられて訪れた、谷崎潤一郎の墓。其処に刻まれた寂の一文字。秋風に吹かれたその夜、偶然にも辿り着いた言葉が、心の匂い。ささめごとにて書かれている、心の艶。美(味)に耽りながらも、私も其処へ辿り着ければと、切に切に願うのでした。

初めてのものを前にして、関西の人は匂い、関東の人は眺めるそうです。
京都で暮らしているからか、視力が弱い為か、嗅覚は本能を刺激するからなのか、私は香りに魅せられることが多いと感じます。京都の洋菓子にはムース系が多いのも、影響しているかもしれません。
好きな店は何処も、妙なる香りに溢れています。

今月は(来月も?)京都の店ばかりを書き連ねておりますが、月や花から得るインスピレーションが多いようです。妄想と幻想と夢想の間にある、白日夢のような戯言と拙文に、もし興味を持たれたものがありましたら、はんなりと香るその店をお訪ねください。
味覚と嗜好は人それぞれだと考えているため、味については詳しく書いておりませんし、批判はしていないつもりです。また、“それ”目当てに私が浅ましい事をせぬ様にとの戒めから、コメント欄を設けておりません。個人的嗜好のblogなんて、こっそりと隠れて書いておれば良いのです。
ただ、好きだけを。できるだけ文章は短く、個人的な感覚と印象のみを書こうと心掛けております。味覚だけでは無く、私が五感で感じた雰囲気を、写真と文章に込めることが出来ればと願います。
しかし、私の心と文章と写真が捉えるよりもっと、実際のお菓子は美味しいのです。
残念だけど、嬉しいものですね。