20110125

トキハナツ


を開けると、様々な想いが蘇った。甘く幸福だった日々の思い出と、浪漫と哀愁。そして少なからぬ後悔も。だがしかし、全てが懐かしく、全ては愛しかった。あらゆるものの全てが、ただ愛しかった。
戻れないならせめて、過去を懐かしもう。楽しい記憶として、酔いつぶれるのも良いだろうさ。

ババ(Baba au rhum)





溺れるほどのラム酒と、夢見るクリームを。
コルク型の、生地の粗いブリオッシュに、たっぷりのラム酒とクレームパティシエール。どこかスパイシーな香りと苦味があり、生地はふわりと甘い。時を越える翼を与えてくれる、静かな感動がある。
伝統菓子を作り続ける価値と意味を、良く考えてみる必要がある。流行に流されて、大切なものを見失わないように。

…小難しいことはあまり書き残したく無いので、小洒落れたワイン(それとコルク栓)の諺でも引用したかったのだけれど、あまり酒を嗜まない私の記憶には、その楽しさに相応しいものが記されていなかった。何か、何か無いものか…なんて悩むフリをしつつ、私はまた、この大好きなババを注文した。
店名が“AU TEMPS PERDU”で、そこでコルク型のババを味わえるなんて、溢れる想い出は、芳醇で甘く愛しいに決まっているじゃないか。