20110101

夜明け前


陽の気配。明日の息吹。まだ明けぬ漆黒を、迫り来る黄金が瑠璃色へと変えていく。星々が消えた重く冷たい暗闇は、ぬばたまの潤いを取り戻す。
昨日に帰れないのであれば、今日は優しくあろうと曙に誓う。それがやがて、愛しい思い出になると思うから。

黄味しぐれ(aube)


京都
御菓子司 親玉堂
京都市北区小山上花ノ木町26



近所の和菓子屋。たまに思い出す、あんこの甘さ。小さなどら焼きや大福、かのこ等が好きだった。栗も素朴で、美味しかったことを憶えている。
残念ながら、旧年の大晦日をもって店を閉められて、もうあの素朴さには会えなくなった。美味しい店が、また1つ無くなったのだ。
美味しいものが好きな人でさえ、手軽さや便利さや安さを求める。それを悪とは言わないけれど、せめて近所のお気に入りと、優しさだけは大切にしてもらいたいと、願わずにはいられない。親玉堂が、“しんぎょくどう”だったのか“おやだまどう”であったのかも知らないままである私自身に対し、自戒の意を込めて。

まだ遠い朝日を想像しつつ鳥居をくぐり、そっとお祈りをした。甘い日々と、優しさに包まれた生活を願って。
今年は、どんな1年になるのだろうか。