20110405

咲く花の美しさ、散る花の美しさ。


霞の舞う空の下で、桜の樹を眺めていた。花は笑い、葉はさやさやと囁いていた。見上げた青空に月が居ないのを不思議に思った僕は、心が舞い上がりすぎていたのだろうか?
春の香りと戯れて、しばし微睡む。訪れたのは、美しい朧月夜であった。

花宴(Hana no En : Banquet de printemps : Le Dit du Genji #08)





桜の花に、貴方は何を想うのだろうか? 僕の友人達は、物悲しいとか、寂しいとか、とかく別れのイメージが強いようだ。
そんな感傷的な感覚を持ち合わせていない僕は、ちょっとおかしいのでは無いかと思ったけれど、桜に別れのイメージを重ねるのは、3月には開花する西日本の人々であったり、桜=卒業や別れのイメージで歌うJ-POPが山の様にあるからだと気付いて、なんだか少し安心したんだ。
江戸期の武家や、戦中戦後の人々が、桜の潔さに死をイメージした気持ちも分かるけれど、やはり僕は、毎年楽しく愛でたいと思わずにはいられない。
色は匂へど散りぬるを
花の色気が色香に変わるのを楽しみとしているのだから、悲しむ暇なんて無いよ僕には。

ねぇ、君には、毎年出会うのを楽しみにしている桜の樹があるかい?