20110406

花の季節


白

雪の下で眠る、春の花とトキメキよ。その甘い夢を、僕に教えておくれ。君が夢見る、春の夢を。
咲き誇る前の乙女にも似た、気丈なる清廉と美しさを、僕はここに見つけた。春よ、麗しき春よ。

苺のショートケーキ(Gâteau aux Fraises)





これは僕のワガママでしか無いのだけれど、この愛しいショートケーキのビスキュイを、日本人好みの柔らかいものに変えようかと悩まれていると聞いた時は、正直動揺した。だって、僕はこの、ほろほろと崩れていく食感と儚さを、とても愛していたのだから。
結局のところ、ビスキュイは今まで通りのものでやって行く事となり、僕は一安心した。そこで考えたのは、僕たちはあまりにもワガママでは無いだろうかという現実だ。無知故に、愛情に欠けるが故に僕たちは、作り手側に大きな無理を強いているのでは無いだろうか?
だから僕は、今まで以上に感謝して食べようと誓ったし、職人が目指すものを追い求められる環境と文化が、早く日本に根付いて欲しいと祈った。本当に、お願いだから、お店や職人へ文句を言う前にもっと、感謝と感動を伝えて欲しい。美味しい食事と、素晴らしい未来の為に。

20110405

咲く花の美しさ、散る花の美しさ。


花

霞の舞う空の下で、桜の樹を眺めていた。花は笑い、葉はさやさやと囁いていた。見上げた青空に月が居ないのを不思議に思った僕は、心が舞い上がりすぎていたのだろうか?
春の香りと戯れて、しばし微睡む。訪れたのは、美しい朧月夜であった。

花宴(Hana no En : Banquet de printemps : Le Dit du Genji #08)





桜の花に、貴方は何を想うのだろうか? 僕の友人達は、物悲しいとか、寂しいとか、とかく別れのイメージが強いようだ。
そんな感傷的な感覚を持ち合わせていない僕は、ちょっとおかしいのでは無いかと思ったけれど、桜に別れのイメージを重ねるのは、3月には開花する西日本の人々であったり、桜=卒業や別れのイメージで歌うJ-POPが山の様にあるからだと気付いて、なんだか少し安心したんだ。
江戸期の武家や、戦中戦後の人々が、桜の潔さに死をイメージした気持ちも分かるけれど、やはり僕は、毎年楽しく愛でたいと思わずにはいられない。
色は匂へど散りぬるを
花の色気が色香に変わるのを楽しみとしているのだから、悲しむ暇なんて無いよ僕には。

ねぇ、君には、毎年出会うのを楽しみにしている桜の樹があるかい?

20110404

春に咲く幻想


桜

に宿る、淡く儚い夢の香り。微睡みに瞬くのは薄紅色の胡蝶だろうか。幻は、夜は花灯りに遊び、昼は花影に踊っていた。…見えない雨が、虚空に穏やかな余韻を残し、想い出のうちに消えていく。
すれ違う微風が奏でたのは、恋の残り香のようであった。

Les Confitures Extra de Christine Ferber
“Kyoto”
(framboises et griottes d'Alsace à la rose)


アルザス
MAISON FERBER メゾン・フェルベール

KYOTO


京

都の吐息。京都の眼差し。僕らは何も知らない。目に映る全てに宿る、見えない余韻。耳に届かぬ全てに響く、聴こえない囁きを。
はんなりと、香る匂い。陰に咲く幻の花。陽の光に佇む僕たちの、影に寄り添う優しさに似て。何も知らない僕たちは、全てに包まれて生きている。
掬った一匙の幻想と、ガラスの小瓶が落とした影を、ルージュに染める、彼女の淡い夢よ。

Les Confitures Extra de Christine Ferber
“Kyoto”
(framboises et griottes d'Alsace à la rose)


アルザス
MAISON FERBER メゾン・フェルベール



去年の秋に、マダム・クリスティーヌのアトリエを訪れた際には、まだそれはイメージの世界だけだった。だから僕は悪戯っぽく、エヴァンさんの新作ガトーは、京都よりも奈良のイメージでしたよと言うと、彼女は笑顔でこう応えた。
『大丈夫。私は京都をイメージしているわ。任せて!』
そして年が明けて、伊勢丹のSDCに持って来られたのが、このコンフィチュール。名前も“Kyoto”だ。僕は嬉々として蓋を開け、京都の友人達と庭を眺めながらいただく事にした。
…薔薇の花びらは、空に舞う桜だろうか。いや、緑に落ちた花弁のようでもあるし、余花をも想わせてくれる。グリオットは古都の気配を伝えるとともに、祇園界隈の石畳を思い出させてくれた。何よりも、そのルージュの色と艶が、京都らしさを物語っている。紅の和傘が、影に落とす色。舞妓の柔らかい唇。連なる鳥居。夜の紅い提灯や、ぼんぼりの温もり。あとは…そうだな、血の色だ。受継がれてきた歴史の色。この街に息づいている、深く優しい気配。とても京都らしいと感心し、同時に僕は、彼女以上に京都を知っているのだろうかと悩んでしまった。
甘い余韻の中、冬の庭を眺めていると、桜の老木に幻の花が咲き誇った。それは妖精の魔法だったのかも知れない。

いつか彼女とご家族に、美しい京都の桜を見せてあげたいと思い、この桜の樹にお願いをした。

20110403

夢の雫


零

れた涙の一雫が、心に静かな波紋を描いては消えた。悲しみとか、切なさとか、それらとは違う想い。例えるならば、桜咲く風景を眺めた時の、歌人の心境に近いのかも知れない。
風に揺れては微笑んで、青空に、夜闇に、はらはらと花弁を散らしていく。落ちた花びらに僕たちは、想いを重ねていく。その想いにまた、桜は花びらを贈るのだろう。

フレジェ(Fraisier)





3月22日、また1つ、僕は居場所を失った。好きな店が無くなるのは寂しいもので、残念に思う。いつまでも在ると思い込んでいた幻想が、突然終りを告げる。正直に言えば、やはり悲しみを感じてはいるんだ。
でも、この店のオーナーであった小林君は、見ていて飽きない。何か不思議と期待してしまうし、興味が尽きない。彼が作るお菓子と同じく、僕の想像なんてものを、軽く飛び越えていくんだ。だからきっと、また何処かで会うことになるのだろう。その場所にお菓子があって、僕が其処へ通えることを、最後の一皿に願った。
ちなみにこのフレジェの形、僕にとっては、涙よりも花びらのように見えていたんだ。桜が咲くよりも早くに散ってしまったけれど、その皿の上に、余韻の中に、僕は桜の花を夢見ていたよ。

それではまた。ごきげんよう。

20110402

Le Lac des Cygnes


月

は踊る。静かな夜の湖で。雲間から差す月影は、可憐な白鳥たちの幻想を見せてくれた。月の光は羽毛のように柔らかく、煌めく細波に踊っている。
湖畔に音楽が流れ始めた頃には、僕はその幻に、初恋の人を探していた。

タルトショコラ(Tarte au chocolat)


京都
Comme Toujours コムトゥジュール

20110401

Kiss me forever


風

に花が咲いていた。ただそれを眺めていた僕は、触れることの出来ない香りにそっと、サヨナラのキスをした。月の雫は甘く輝いて、少しだけ時を止めた。思い出を夢に変える、刹那の吐息の時間だけ。

苺クリームサンド(Soy bagel, Strawberry Cream sandwich)


京都
Radio Bagel レディオベーグル
http://www.radiobagel.com/
京都市北区上賀茂池端町9 久世ハイツ101