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20110322

Que me conseillez-vous d'aller visiter?


L

es gens ont des étoiles qui ne sont pas les mêmes. Pour les uns, qui voyagent, les étoiles sont des guides. Pour d'autres elles ne sont rien que de petites lumières.
一歩一歩と踏みしめながら、長い道のりを歩いてきたつもりだった。でも、空を見上げることを忘れていたのかも知れない。僕は何処へ進んでいるのだろうか? 僕は何処を、目指していたのだろうか? 足元ばかりを見ていた僕に、落ちる影は自身の影であった。空を見上げよう。そして、星を目指そう。
まだ雪の残る小径を歩きながら、僕は冬の終りを感じていた。

Macaron chocolat à l’ancienne


パリ
JEAN-PAUL HÉVIN ジャンポール・エヴァン
http://www.jphevin.com/



タイトルと冒頭の一文は、サンテグジュペリの“星の王子さま”から。残念ながら、またフラリとパリを訪ねたわけじゃないんだ。
ただ、どうしたら、何をしたら、再びあの街を訪れることが出来て、親しくなった人達と再会出来るのかと、ぼんやりと考えていた。
ジャンポール・エヴァンの、マカロン・ショコラ・アランシェンヌ。パリと変わらない物が日本にもあるのだから、道は繋がっていると思うんだ。だから迷っているのは僕自身の心に過ぎないと思い、再び歩き出そうと思う。今度は、前を向いて、星を頼りにして。

20110127

森の妖精


枯らしに吹かれ、夢に迷った森の中で、小さな帽子を見つけた。拾い上げるとそこには小さな妖精がいて、夢の続きへと手招きする。
ハルモニオデオンの旋律の小径を歩いて、僕たちは森の奥へと進んでいった。夢の続きの、温かな眠りの先の物語へと。

モンブラン(Mont-Blanc)


20110123

Lanterne Magique


のような、きらびやかな魔法を見た。それはシンデレラを迎えに来た、カボチャの馬車。貴女を舞踏会へと誘う魔法。運命の御者は貴女の手をとり迎え入れると、流星の鞭を振るい、馬車を走らせた。森を抜けて銀河を越えて、憧れの城、北極星へと辿り着いた。
さぁ、姫君よ、夢で踊ろう。零時の鐘が鳴るまでの、素晴らしき夜の宴の中で。

カボチャのシュークリーム(Chou à la crème au Potiron)


京都
Citron Salé シトロン・サレ
http://speem.com/citron/



これは全くの偶然なんだけど、この日はとても寒くて、だから僕たちはシトロンへと逃れ、温かい珈琲とシュークリームを頼み、いつものように写真を撮ってみたら…ほら、こんな感じに。まるで魔法だよ。
でもさ、レンズが曇っただけなんて言っても夢が無いじゃない。このシュークリームをカボチャの馬車に見立てて、もう一度夜へと繰り出そうよ。ねぇ、愛しのシンデレラ

20110121

秘密の果実


く耳元で囁いたのは、天使だったのか、それとも悪魔だったのか。僕らの御先祖様は、この果実によって王冠を失ったけれど、代わりに翼を手に入れたんだ。心と未来にね。
今、また僕の耳元で囁く者がいる。それは妖精なのかも知れないけれど、僕の答えは決まっているよ。
王でもなく、女王でもなく、僕たちは恋人として、甘い果実にキスをした。

ポメ(Pommé)


西宮市
pâtisserie au temple du goût オ・タンプル・デュ・グゥ
http://www.du-gout.com/



ポム(Pomme)ではなくポメ(Pommé)と名付けた理由を考えてみた。名詞と形容詞の違いでは無く、なぜポメと命名したのだろうかと。ただ単純に、小さく可愛い林檎のような形だからかも知れないけれど、もっと詩的で浪漫を感じられそうな理由が欲しくなるほどに、このお菓子は美味しく味わい深かったんだ。
…林檎のような…林檎に似た………そうか、林檎そのもので無く、林檎が意味するものだ。それは恋人たちの果実。どんなに禁じられても、手を出してしまうもの。甘美なる真実と幻想と黄金と約束。
僕たちは愛へ辿り着きたいが為に、恋へと手を伸ばす。その味が甘くても酸っぱくても苦くても、そんなの大した問題じゃないんだ。ただ僕たちは、愛を知りたいだけなんだ。

イメージの世界では、西洋の林檎は東洋の桃に当たるのかも知れないと閃いたけれど、そのまま僕は、深く甘い海へと溺れていった。

20101217

カラメルの想い出


空を染めていく、琥珀色の想い出たち。淡い記憶に埋もれていく僕たちは、君が誰だったかも忘れてしまう黄昏。
ふと薫る閃きが、心の闇に咲く。それが夜空の星になるから、僕たちは夢見ることが出来るんだ。甘い想い出とともに。

ポワール・キャラメル(Poire au caramel)


京都
AU TEMPS PERDU オ・タン・ペルデュ
http://www.bellecour.co.jp/

20101216

さよならのあと


角に佇んでいた秋は去り、低い空には冬が、朧な風景と戯れていた。優しかった晩秋の残り香は、冷たく透明な冬の光へと溶け、ゆっくりと消えていく。
それでもたまに思い出すのは、まだ君の温もりを愛しく想えるからだろう。もう、夢の中でしか逢えないけれど。

モンブラン(Mont Blanc)


京都
Atelier La Page Blanche アトリエ・ラ・パージュブランシュ
http://www.alpb.jp//

20101213

La plume du cygne


空に咲く天華はふわりと芳しく、風にちぎれて舞う花びらは、まるで白鳥の羽根のようだった。
広げた手のひらに舞い降りて、溶けていく淡雪。不思議と冷たさを感じる事は無く、むしろ温かく思えた。夢のような幻に、僕は迷い込んでしまいそうだ。
風に舞う花の中に君を見つけ、僕は優しく抱きしめる。この日、冬は静かに舞い降りた。

ガトー・マロン(Gâteau au Marron)


京都
Citron Salé シトロン・サレ
http://speem.com/citron/

20101211

陽だまり


を集め、祈るように微睡む君は、ひだまりに咲く黄金の夢。やさしい想いが、窓辺に溢れていた。
君の暖かな眼差しが眩しくて、嬉しくて、ぼくは眼を細めて微笑む。2人の夢が、光の中で手を繫いだ。

KINAKO(きなこ)


京都
Patisserie petitjaponais プチジャポネ
http://plus5.jp/pj/

20101201

月のエトワール


い夜の幻か、朧に目覚めた暁に、月の残り香を発見して、遠く煌めく錦を眺めていた。
薄暗い紫の闇に吐く息は白く、凍てついた星が零れるようだ。
あぁ、そうか。それで月の香りを感じたのだ。あの初霜に、月の吐息に。

落葉の霜


京都
嘯月 しょうげつ

京都
sione シオネ
http://si-o-ne.jp/

京都
Mesda nu kyad メスダヌキヤド
http://www.kyad.jp/

20101130

優しい夜


夜に眠る幽玄を。月影の黄金と、真実の夜を。
罪深き僕に、教えてくれないか。
夢から醒めた、夢の続きを。

かぼちゃのブリュレ・温かいりんご添え
 &シェリー酒
Crème brûlée au potiron et Pommes flambé
Sherry(Valdespino Inocente)


京都
遊形 サロン・ド・テ ゆうけい



the Power of solitudes
孤独は悲しさとイコールでは無いし、優しさから遠い場所にあるものでも無い。もし、そう感じるのならば、それは貴方の心の弱さだ。
うつむいていないで、顔をあげて月を見て。
寂しさのすぐそばに、あたたかい優しさがあることを、僕たちはつい忘れがちだ。

俵屋旅館の南にある、遊形サロン・ド・テ。秋にはかぼちゃのブリュレがあって、これがとても優しく美味しい。
このブリュレを、関谷江里さんは金屏風のようだと表現された。シルエットも、能における意味的にも、これ以上の表現は無いと感動したのを憶えている。
僕はまだまだ辿り着けないので、宵闇と、お酒のチカラを借りてみた。…花の香の先、幻想の夜道で出会ったのは、ボードレールとドビュッシーだった。




Nous aurons des lits pleins d'odeurs légères,
Des divans profonds comme des tombeaux,
Et d'étranges fleurs sur des étagères,
Ecloses pour nous sous des cieux plus beaux.

Usant à l'envi leurs chaleurs dernières,
Nos deux coeurs seront deux vastes flambeaux,
Qui réfléchiront leurs doubles lumières
Dans nos deux esprits, ces miroirs jumeaux.

Un soir fait de rose et de bleu mystique,
Nous échangerons un éclair unique,
Comme un long sanglot, tout chargé d'adieux;

Et plus tard un Ange, entr'ouvrant les portes,
Viendra ranimer, fidèle et joyeux,
Les miroirs ternis et les flammes mortes.

STAR WALKER


B

elle nuit étoilée.
グラスを傾けると、漆黒のテーブルに星空が咲いた。うっとりと眺めるようにして、銀のナイフを入れると、輝く流れ星が闇を駆け抜けていった。何かを願う間も無いほどに、美しい夜だった。
さぁ、僕達の月と踊ろう。星と共に、銀河のステップで。

BLACK BUSH


京都
gion ghost ギオン・ゴースト



京都へと戻り、旅の疲れも抜けた頃、友人達と集まった。特に意味も無く、ただ何となく、毎月のように集まっている。今回は、祇園のghostにお願いして、様々なお酒とケーキのマリアージュを楽しんでみた。なかなか楽しい発見があり、皆も喜んでくれたと思う。
集まりは不定期で、誰からとも無く希望が出るから、それをまとめて場所と日時を決める。だから毎回、集う面々は異なるけれど、なんだか気が合う者達ばかりで、実はとても感謝している。何故なら僕が、とても安心出来る人達だから。
そうだな…例えば、夜空に輝く星座は、人間が想像した物語に過ぎず、実は隣り合ってもいなければ、近い者同志でも無い。光の速度ですらももどかしい程に、遠く遠く離れているんだ。
孤独な星と星を結びつけるのは、愚かで幼い僕達の、ただの幻想だ。でもそれが、とても美しい物語を描くのは、決して幻なんかじゃないんだよ。
特に、こんな美しい夜にはね。

20101129

Quand Même


く稜線を眺める。鮮やかなルージュ。葡萄色の空の境界線を、ロマン派の詩人たちが通り過ぎていく。
甘いそよ風の先に、歌声が咲いていた。銀嶺に立つ、サラ・ベルナール(Sarah Bernhardt)の美しさ。孤高では無く、高嶺に咲く麗しき花よ。

モンカレ(Mont-Carré)


京都
Le Sucrier ル・シュクリエ
http://lesucrier.web.fc2.com/



フランス菓子の甘い残り香も、僕の服に着いていた香水の香りも、だんだんと薄れていく。多くの人に甘えて暮らしたし、たくさんお世話になったのだから、何か恩返しをしたいと強く願うようになった。…僕には何が、出来るのだろうか?
迷い悩むことが多くなったけれど、これは恋の悩みのようなもので、痛みや苦しみすらも、きっと甘いのだ。そう、甘いのだよ。
だからその甘さ、シンプルな喜びについて、僕はもっと考えるようにしよう。それこそが、辿るべき道なのだ。

出町柳のこの店も、フランスの雰囲気を淡く感じられるので、未来を考えるには、ちょうど良い場所に思えた。そして今日もまた、窓の向こうに綺麗な幻を見せてくれたんだ。

Mon Amour


が吹くように、花が咲くように、季節が移ろうように。淡い恋はやがて、深い愛へと辿り着き、甘い香りで満たされる。
ほのかな夢から紡ぎだされたのは、1本の、運命の糸だった。手を繫ぐように僕たちは、魅かれ、結ばれていく。

秋風(Le vent d'Automne)





久しぶりにいただいた蕨餅は美味しくて、京都へ帰ってきた実感が溢れた。しみじみと、幸福が体中へと広がっていく。御主人と奥様に、僕は深く感謝した。
さて、と。やっぱり1つで終わることなんて無く、2つ目のお菓子に手を伸ばした。淡い色彩の秋風。糸車に巻かれた生糸を模した、おだまき(小田巻き、または苧環)きんとん。薯蕷と小豆のシンプルな和菓子だけれども、銘と季節と色彩が、味覚に大きく作用するようで、毎回異なる印象を楽しむことが出来る。
『色の濃さも食感も、同じものは出来ないんですよ。』
まだまだ未熟ですからと、謙虚な御主人。狙い通りの色や食感を作り出すのは、なかなか難しいそうだ。
上手くいかないもどかしさと、それでも美味しく美しくと求め続ける姿。…思うにそれは、恋に似ているのではないかと思った。だからこそ、通うほどに僕は、この店を愛しく感じるのだ。

20101128

LA POMME D'OR


く果実。それは雄大なる西海へと沈む、黄昏の太陽に似ていた。煌めく黄金。艶やかなる炎。真実の蜂蜜が、夕日へと溶けていく。神の果実は、ゆっくりと楽園へ沈んでいった。闇へ、夜へ、明日と呼ばれる未来へと。
再びこの果実を掴むために僕たちは、甘い夢を見るのである。星の海に、夜の静寂に、永遠と呼ばれる、束の間の幻に。
語り尽くせぬほどの夢を、僕たちは毎晩見ているのだ。忘れたなんて、言わせないよ。

Tarte Tatin


パリ
Blé Sucré ブレシュクレ



感謝と撮影の後、3つのケーキを美味しくいただき、それをスケッチして、お礼とごちそうさまを言うために、トレイを持って店内へと戻った。気付けば太陽は沈んでおり、向かいの公園は暗く、もう夜になっていた。
スケッチしたケーキを見せながら、マダムに感謝の意を述べると、
『あなた、日本人よね? ちょっと待って、ウチにも日本人がいるのよ。』
そう言って、奥から土屋さんを呼んできてくださった。仕事の手を休めて彼は、丁寧に私のスケッチの隣に、それぞれのケーキの説明を書いてくれた。
桃のケーキと苺のタルトは詳細を書いてくださったのだけれど、面白かったのが、このタルトタタン。
『これはね…おいしいりんご!それが全てだよ!』
確かに。一目見ただけで伝わってくる程に、この林檎の美味しさは素晴らしく、正に黄金の林檎であった。
(神話に登場する“黄金の林檎”のほとんどは、実はオレンジやトマトの事らしい。…でもさ、そんな事を言う古の彼らは、このタルトタタンを知らなかっただけなんだよきっと)
お忙しいのにシェフも顔を出してくださり、幸運にも直接お礼を述べることが出来た。
そしてやっぱりシェフも、こう言われるの。
『うん。美味しい林檎だ。それをガレットブルトンヌに乗せただけだからね。』
その笑顔には、力強さと優しさが見えた。
…ねぇ、シェフ、僕が知っているのは、黄金の林檎を手に入れることが出来るのは、神と英雄と、色男だけだったはずですよ♪

20101124

fly me to the moon


くような、月の香りを知っているかしら?
甘く、小さな蕾が花咲くような、静かなパフューム。蝶の羽根のような月光から、夢の夜空に降ってくるの。
そして彼女はそっと、美しく潤んだ瞳を閉じた。

Tarte Tatin


パリ
http://www.lapatisseriedesreves.com/



こちらも新解釈の古典菓子、タルトタタン。でも、タルトタタンには多くのバリエーションがあり、様々な知恵と技術でもって、美味しいタルトタタンを作られています。菓子職人だけではなく、家庭の味でもあると思うの。
さて、このタルトをどう表現しようかと考えていたら、ちょうどHelena Noguerraの歌声(Toi Mon Auto)が流れて、その甘さと浮遊間が、タルトの余韻に似ている気がしたのね。だから彼女の歌に、何かヒントは無いかと探し求めていたら、ジャズのスタンダードでもあるfly me to the moonに行き着いて、歌詞のイメージから、上の文章が書けたってわけさ。
そうそう、“言い換えれば”そーゆーコトだよね(笑)

PS.
僕はタルトタタンを食べて、それを素早くスケッチして、エルザに説明文を添えてもらった。
薄く重ねられた林檎も、歯ごたえの良いパイも美味しかったけれど、それを引立てるクリームが素晴らしかったので、これは何かと尋ねたら、
『フフフ、ここに書いてあるよ。』
そう言ってアセヌが指差した場所を見ると、Mascarponeと書いてあった。
オリジナルのクレームシャンティは、現在よりも濃厚で酸味があったそうだから、ここにも古典を大切にする思想が見えて、増々この店のお菓子が好きになったんだ。

20101122

Ma chérie



々として、秋の小径に風が舞う。麗しき貴女の歩まれた足元には、可憐な花が咲くほどに魅力的で、それなのに、凛とした眼差しながら、くるくるとレースの日傘を回して微笑む貴女を、少女のように可愛いと感じてしまったのは、私の、黄昏の戯れだと思ってください。

Religieuse


パリ
LA MAISON DU CHOCOLAT ラ・メゾン・デュ・ショコラ
http://www.lamaisonduchocolat.com/



ショコラの香りに誘われて、黄昏に店を訪れた。いくつかテイスティングをして楽しんだ後、夜の嗜みとして、気に入ったボンボンショコラと、ケークを1切れいただくことにした。
『今月の週末は、ルリジューズが出ているの。これも美味しいですよ。』
雅代さんと、ジャンバティストさんに薦められて、1つ予約することにした。
そして週末。快晴とはいかないけれど、秋らしく薫る日の午後に、予約したルリジューズを受け取って、散歩がてら公園へと向かった。
ちょうどおやつ時になったので、木漏れ日と秋風が静かに舞うベンチを見つけて腰を下ろし、箱からルリジューズを取り出した僕は、うっとりとして呟いた。
『愛しい人よ。』
それが全てだよ。美味しさは、純粋なる愛なんだ。

20101115

Chanson d'Automne


L

es sanglots longs. Des violons De l'automne.
秋風に、紅葉は小さな手を振って、季節と僕らに別れを告げる。
ひと風ごとに、山々は色づいて、眺める君の横顔は、ひと息ごとに、頬を紅く染めていく。
空ばかりを眺めていた僕は、まだ君の溜息の理由を知らないでいた。

Chanson d'Automne / Paul Verlaine
霜月“紅葉狩り”




仏蘭西(France)編が続いておりますが、巴里(Paris)の前に、ちょっと京都のお話しも。
足早に秋が駆け抜けており、朝晩は冷え込み、秋の叙情に耽る間も無し。日ごとに変わりゆく色彩は人々を惹き付けるようで、京の町も観光客で混み合ってきました。
秋。それは物悲しいくも恋しい季節だとか言うけれど、何がそうさせるのだろうか。例えば、秋の次が夏ならば、もしくは、秋から1年が始まるのならば、人々は慕情を募らせるものなのだろうか?
青空から降る紅を拾い、指先でくるくると回しながら、朝の鴨川を歩いてみた。ちょっと一息。忙しい僕らの足を休ませるために、季節は美しく粧うような気がして、馴染みの場所で、一服した。紅葉をかたどった、やわらかな和菓子と抹茶で。

パリのマロニエ、公園に降り積もる秋の絨毯や、つむじ風に舞う落葉を思い出したので、旅の続きを書くとしよう。あともう少しだけ、夢の続きを。

20101108

さよならのキスを


S

es cheveux se balançait dans le vent.
長い夏は終り、秋は足早に通り過ぎようとしていた。彼女と会える時間は日ごとに短くなり、強くなっていく風の寒さに、僕は少し哀愁を感じていた。
彼女は、長く伸びた黄金の髪を夕日のリボンで結び、西の地平線へと駆けてゆく。静かに舞う秋風に、そっと僕はキスをした。

Tarte poire(タルト・ポワール)


アルザス
MAISON FERBER メゾン・フェルベール



樹々の葉は、色を変えて染まりゆき、大地の香りは芳醇で深く、風はゆっくりとワルツを踊っていた。光りには夏の残り香を感じるけれど、季節はもうすっかりと秋に変わっており、遠く冬の気配すら感じる。
梨を太陽に、太陽を女神に例えたけれど、ヨーロッパでは男神なんだよなと思いつつ、このタルトを作る時に、どうマロンクリームを乗せようかしらと苦心していた、クロティルドの横顔を思い出した。
その瞬間に、マロンクリームは亜麻色の髪に見えたので、こんな詩が生まれたって訳さ。

20101102

豊穣


J

'ai promener dans la forêt profonde.
恵み豊かな森の、贈り物。生い茂る木々から零れたプレゼントは、秋風薫る手紙。大地の喜びと、森の慈しみを感じながら、ゆるやかに時は溶けてゆき、秋の物語が始まる。
やがて降る雪すらも、暖かく感じるほどの愛を、僕は木漏れ日の下で見つけた。秋色の、君の瞳の中に。

Torche aux Maron(トルシュ・オ・マロン)


アルザス
MAISON FERBER メゾン・フェルベール



窓から庭を眺めると、マダム・クリスティーヌが育てた、美しい木々と花々が輝いていた。
スプーンでひとくち。そしてやわらかな光りの中で目を閉じると、甘味の中に赤い薔薇が咲いたような気がしたんだ。もっともそれは幻なんだけど、夢を見させてくれる優しさが、このモンブラン(フランスでは、トルシュ・オ・マロン)には溢れていた。青空を感じたのは、水色のお皿のせいなのかな?
マダム・クリスティーヌと、ダヴィ、ジョフレの3人は、新しい花壇を楽しそうに作っていたけれど、森を散歩して疲れた僕は、この一皿の上に広がる白日夢を、ゆっくりと楽しむことにしたんだ。

20101031

Jack-o'-lantern


灯の明かりを追いかけて、秋風の中を走り抜ける。舞う枯れ葉はワルツを踊り、銀色の芒は忍び寄る闇を払い、生まれたばかりの星々の下で、妖精と木霊のオペラが始まる。夜が目覚める前の、昼が眠る前の、狭間の世界。子供達よ、戯れに彷徨う妖怪達に、祈りと笑顔を教えてあげよう。そして暖かな心の、感謝と祝福を大地へ捧げよう。

おかぼ(Lanterne Citrouille)