S
es cheveux se balançait dans le vent.長い夏は終り、秋は足早に通り過ぎようとしていた。彼女と会える時間は日ごとに短くなり、強くなっていく風の寒さに、僕は少し哀愁を感じていた。
彼女は、長く伸びた黄金の髪を夕日のリボンで結び、西の地平線へと駆けてゆく。静かに舞う秋風に、そっと僕はキスをした。
Tarte poire(タルト・ポワール)
樹々の葉は、色を変えて染まりゆき、大地の香りは芳醇で深く、風はゆっくりとワルツを踊っていた。光りには夏の残り香を感じるけれど、季節はもうすっかりと秋に変わっており、遠く冬の気配すら感じる。
梨を太陽に、太陽を女神に例えたけれど、ヨーロッパでは男神なんだよなと思いつつ、このタルトを作る時に、どうマロンクリームを乗せようかしらと苦心していた、クロティルドの横顔を思い出した。
その瞬間に、マロンクリームは亜麻色の髪に見えたので、こんな詩が生まれたって訳さ。