20101126

Murmure du vent vert


風に乗って、甘い囁き声が聞こえた。野山を駆け、谷を飛び越え、七色の空を渡り、耳元で小さな花が揺れるような声だ。それはまるで、風の谷の魔法使いが、空の果ての恋人へ送った手紙に似ていた。
青空に詩を紡ぐように、そよ風が流れていた。

PV(Pêche Verveine)


パリ
Blé Sucré ブレシュクレ



風の谷の魔法使いが送った手紙というイメージは、ナイフを入れた瞬間に溢れた、桃とベルベーヌの香りで思いついた。ただ、あれから随分と経った今でも、手紙を送った相手が、魔法使いの恋人なのか、それとも異国の姫君なのかは、実は僕にも良く分からないでいる。もしかすると、その両方かも知れない。次回は、もっと耳を澄ましてみるよ。

あぁ、そうそう、この店を教えてくれたのは、フランシス・クラインのマリアンなんだ。彼は日本語が完璧で、ブレシュクレで働いている土屋さんの友人でもある。
ボナパルト通りのラデュレから出てすぐ、偶然訪れた素敵なメガネ店にて、僕が甘いもの大好きだと言ったら、ブレシュクレを紹介してくれたんだ。
『僕の友人が働いている店なんだけど、とても美味しいんだ♪』
その言葉は真実で、もし、付け足すことがあるとしたら、可愛いくてオリジナリティに溢れている事くらいだろうか。正直な話し、店内に1歩足を踏み入れた瞬間に、僕はこの店に恋をしたと言っても良いくらいだよ。
僕がバスティーユ界隈に住んでいたら、きっと毎週訪れるだろうし、例えば子供がいたとしたら、毎日一緒に訪れたかも知れないよね。向かいの公園へ行くのを理由にしてさ(笑)
それほどまでに、愛らしい店だと感じたんだ。


Francis Klein フランシス・クライン
http://francisklein.com/