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e bon augure.麗らかな春の日に、咲き誇るや梅の花。香りも色も、恋するように馥郁と満ちてゆく。
青空に、紅白に咲く花の愛でたさよ。花の嵐よ月まで届け。
此の花(Rouge et Blanc)
京都
聚洸 じゅこう
実は今回の“梅と鶯(Prunier & Rossignol)”は6セット作っていただいたので、友人達にもお裾分けとして渡してみた。親しい仲だから趣味が似ているのかも知れないけれど、皆が最も驚いたのがこの金団だった。
言葉で説明すると、粒餡を漉し餡で包んだもの。至って単純。…それなのに、この驚きと言ったら衝撃的で、美味しいのは間違い無いが、何故か全く意味が分からなかった。
だってね、粒餡は皮が残っているのに、漉し餡と同じく消え去るんだよ!? それはまるで夢か幻。激しい花吹雪の突風に瞬きした瞬間、全てが消え去り、長閑な仙境に独り茫然と佇んでいるかのような感覚だったんだ。
食感の後の、長い余韻。美味しいと感じた後の衝撃と切なさは、永遠であれと願わずにはいられない、至高の愛そのものだった。