あるいは僕の、季節への追憶が見せてくれた幻だったかもしれない。
愛らしい林檎の花が散った後、小さな青い果実が風に揺れていた。それは夏の太陽に恋い焦がれるように赤く染まり、季節も色を濃くしていった。
やがて秋が来て、想い出の詰まった果実は落ち、宝石となった。過ぎ去りし日々は甘く懐かしく、優しさが薫る。
冬の街は、光も風も、ずいぶんと冷たくなったけれど、想い出だけはまだ、心を温かくしてくれる。
そよかぜに、瞳を閉じる。もし、林檎を罪の果実と呼ぶならそれは、瞼に鮮やかな光景を蘇らせてくれるからなのだろう。
ポミエ
京都
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