20100510

きみの吐息


国から遠く離れた地上に実る、魅惑的な果実。それは楊貴妃が愛した茘枝。そのライチの香りをヨーロッパが夢想したリキュール、ディタを用いた白いムースのケーキ。
その姿と味は、楊貴妃よりもむしろ、ディタ・フォン・ティース(Dita von Teese)の白い肌や微笑み。そして赤い唇を連想させた。…まぁ、単純に名前からなんだけどね。
このケーキに何を合わせようかと相談すると、出されたボトルが2本。薔薇と桃。薔薇(ローズのウォッカ)を選べばきっと、楊貴妃かイスパハンへと飛べるのだろうけれど、その色に魅かれて、あえて桃(X-RATED)に。

目を閉じて、溶けていく空想の中で私は、そっと夢にキスをした。

魅力的な君の眼差しよりも、艶のある唇よりも、僕は君の声と吐息の虜になった。
だからどうやって君ともっと話そうかと悩んだよ。君ひとりの為の詩人になれたら僕は、どれほど幸せなのだろうかと。
でもね、君が微笑むだけで周囲に咲く花々の幻に、僕のどんな言葉も無意味に思えたんだ。
…沈黙した僕は、君が決して悲しむことの無い世界を想像し、愛よりも強く神様に願った。

ディタ No.1 & X-RATED


京都
ghost ゴースト