20101129

Mon Amour


が吹くように、花が咲くように、季節が移ろうように。淡い恋はやがて、深い愛へと辿り着き、甘い香りで満たされる。
ほのかな夢から紡ぎだされたのは、1本の、運命の糸だった。手を繫ぐように僕たちは、魅かれ、結ばれていく。

秋風(Le vent d'Automne)





久しぶりにいただいた蕨餅は美味しくて、京都へ帰ってきた実感が溢れた。しみじみと、幸福が体中へと広がっていく。御主人と奥様に、僕は深く感謝した。
さて、と。やっぱり1つで終わることなんて無く、2つ目のお菓子に手を伸ばした。淡い色彩の秋風。糸車に巻かれた生糸を模した、おだまき(小田巻き、または苧環)きんとん。薯蕷と小豆のシンプルな和菓子だけれども、銘と季節と色彩が、味覚に大きく作用するようで、毎回異なる印象を楽しむことが出来る。
『色の濃さも食感も、同じものは出来ないんですよ。』
まだまだ未熟ですからと、謙虚な御主人。狙い通りの色や食感を作り出すのは、なかなか難しいそうだ。
上手くいかないもどかしさと、それでも美味しく美しくと求め続ける姿。…思うにそれは、恋に似ているのではないかと思った。だからこそ、通うほどに僕は、この店を愛しく感じるのだ。