20101121

PAPILLONS DE NUIT


光蝶は、夜の帳にはらはらと、黄金の鱗粉で異界の星空を描く。青い魔術師は、暗闇に眠る薔薇にキスをして、長い夜に目覚めさせる。静寂に、淡雪のようなオルゴールの瞬きが、静かに降り始めた。
耽美なる夜。絡まる二人の視線の闇に、儚い幻想が咲いた。

L'Ispahan & Champagne rosè


パリ
LADURÉE Le Bar ラデュレ・バー
http://www.laduree.fr/



賑やかなサロンと、いつ見てもきらびやかなショウケースの前を通り過ぎると、静かな空間が隠れていた。パリ最後の夜だから、よく知っているものをと思い、ロゼとイスパハンをオーダーした。
違う雰囲気の中で眺めてみると、そこには僕の知らなかった可愛さが見えて、また君を好きになっていく。シャンパーニュから生まれた黄金の泡の吐息が、赤い薔薇の花びらの上で煌めいた。
例えば君が、もっと若くて、ちょっと背伸びをしたい少女であったなら、Juliette Has a Gunの香水を思い出したかも知れない。でも君にはもう、薔薇の気高さと蝶の羽根があるのだから、夜でも闇でも星空でも、何処へだって飛んで行けるさ。

君の瞳の泉を眺める僕の、深い霧に包まれた街角の劇場で、Paul Delvauxの絵画をモチーフにした、Raoul Servaisの幻想的なショートムービーが流れていた。