風
にゆれる様に咲く、淡い眼差しの君。唇から零れる吐息に香る、可憐で慎ましい花。夏の別れのそよ風に、そっと手を振る撫子は、蜉蝣の羽音よりも儚く思えた。せめて声を聞かせて欲しいと願うのは、叶わぬ夢なのだろうか? 月影に浮かぶ花を供にして、長い夜に思いを巡らせた。
長月“大和撫子(やまとなでしこ)”
serenity of mind becoming a person who is identified with the clouds in the sky and the stream below.
瞳
を閉じて、囁きに耳を澄ませて。貴方を魅了するために、夢の入口まで僕に案内させて欲しい。静かに重なるハーモニーと、移ろいゆくファンタジー。貴方が歩む道に咲く、魔法の花と夢。君
への僕の、ささやかなるプレゼント。愛しい姫君に、甘い王冠を。君の淡い恋心に、柔らかな翼を。夜毎見る夢に、優しく香るショコラと星の輝きを。陽
光を想わせるコアントローが鼻をくすぐり、朝露に煌めくミルティーユと、心地良い微睡みのフロマージュの甘い声が、静かな森の梢を渡っていく。夢うつつに咲くキルシュは、吐息に幸せをもたらしてくれた。日
向にゆらぐ陽光は甘く、微風に輪郭を失っていく。しかし、それでも消えることの無い、輝きと温もりに、溢れる楽園の気配を感じて僕は、白き心の翼を解き放つ。月
を求めて見あげた空は、厚い雲に覆われていた。しかし、雲間から零れる香気は月影のように、僕の心を照らしてくれた。八
面玲瓏なる神山。蒼天遥か、棚引く八雲に想いを乗せて、遠く理想郷を眺める。朝
の始まりはゆっくりと、でもそれは驚くほど鮮やかに、煌めきと共に訪れる。幻
想に浮かぶ、秘密の丘。降りそそぐ光りはゆっくりと、触れられるほどに速度を落とし、それはまるで羽毛のように、やわらかな微睡みに遊ぶ。菊
の花の眠る夜の夢想。永遠を、喜びを、安寧を、貴方の幸せを祈り、己の長寿を願い、そっと真綿を被せる。常
春の匂い。悠久なる明日香の幻想。古の光を紡ぎ、煌めく歌を織る。溺れる緑に咲く花に抱かれ、私は眩しい夢に沈み、あなたが見た風景の中へと旅立つ。虹
の足元に咲く花の、夢見る可憐。歩き続ける旅人の、愛しき夢幻。虹が生まれる訳と、君の頬笑みに咲く花の美しさを、僕は知っている。溢れるメロディーを胸にそっと抱いて、虹の彼方に佇む君へ、想いは空に弧を描くよ。心
は夢を膨らませ、大きく吸い込んだ想いと未来と憧れを、青空に吹き出した。それは風となり光となりて、天のスフィアを満たしていく。空がこんなにも青いのは、僕らの夢が溢れているからだって、林檎の樹の下の天文詩人が教えてくれた。碧
い空から降りそそぐ、黄金とまぼろし。穏やかに流れゆく夏の、想い出と煌めき。眩しさに眼を細めながらも、僕らは太陽を見上げる。憧れの先に輝く、笑顔の太陽を。