20100313

童話の森を抜けて


神の乳房。ルネサンスの詩人や彫刻家がこのタルトを口にしたならば、きっとその様に讃えたであろう。画家であったなら、天の河を描いたかもしれない。この、豊かに香り立つミルキーなバタークリームには、安らぎと幸福を感じずにはいられない。
私は、アーモンドに陽光を、レーズンに夜の静けさを感じて、これは山の女神のタルトだと思った。抱擁力と力強さ。自然の恵みと暖かな温もり。そして穏やかで朗らかな笑顔が浮かび、愛しさが滲んだ。
味覚より先へ向かうとき、其処に何を見るのだろうか。其処に何が、見えるのだろうか。君に、興味と探究心があるならば、ひとくち食べてみてはくれないか?
あぁ、もっとも、タルトを口に運ぶ理由なんて、美味しいからに他ならないのだけれど。

バタークーヘン


京都
Süßes Vegetus ズーセス・ヴェゲトゥス
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