闇
にときめく真実は、夜空の星のように輝いてなんかいないの。夢の中にも在りはしないわ。最後のキスが、始りのキスになることを、ずっとずっと待っているの。
愛という名の花を探して。
何度目かの別れの日、短いキスの後で彼女が言った。サヨナラの味がしたと。愚かな僕には分からないけれど、きっとそれが真実なのだろう。僕は彼女の温もりと優しさが残る手を振って、虚空にさようならと告げた。
しばらくは、2人の残像と残り香のような関係が続くのかも知れないけれど、この日が別れの日なんだと、僕たちは淡く儚く確信した。