味の深度が深い。それも、暗い海のようにでは無く、見上げた満月に魅せられて、夜空の深淵へと落ちていく感覚。小麦と砂糖の甘さ。その当たり前の美味しさに気付かされた。
その甘さは、蕾が開く時の音に似ているのかも知れない。人知れず咲く白い薔薇。目覚めた世界も夢の中であるかのように、フワリと香る芳香。
予感や気配よりも確実だが、まだ実感を得られないような、不思議な感覚。
…あぁ、それは恋のはじまりと同じなんだ。
ピュイダムール。愛の泉という題名のオペラから名付けられた、ポピュラーなケーキ。ありふれた愛のはじまりは、奇跡とも思える恋の予感から。
兵庫県西宮市
pâtisserie au temple du goût オ・タンプル・デュ・グゥhttp://www.du-gout.com/