瞼
の裏を、微睡みが満たしていく。瞳を閉じるとそこは、淡い雲の海に浮かぶ王国で、僕たちは門を探していた。真実を開く黄金の鍵も、夢を繫ぐ白銀の鍵も持っているのに、宝石に溢れた王国へと入る為の、天国の門が見つからない。あぁ、でも良いんだ。僕たちも、この王国も、共に甘い夢へと溺れていくのだから。
プリン・ア・ラ・モード(Le Pudding à la mode)
京都
Citron Salé シトロン・サレ
http://speem.com/citron/
serenity of mind becoming a person who is identified with the clouds in the sky and the stream below.
瞼
の裏を、微睡みが満たしていく。瞳を閉じるとそこは、淡い雲の海に浮かぶ王国で、僕たちは門を探していた。真実を開く黄金の鍵も、夢を繫ぐ白銀の鍵も持っているのに、宝石に溢れた王国へと入る為の、天国の門が見つからない。ふ
わり、優しさとともに春をとじこめた。ふりそそぐ光のぬくもりと、まぶしくも見上げた青空に浮かぶ、太陽のやわらかさ。夢に香り、風に匂い、君のとなりで咲く愛しさ。月
の無い夜にさえ、僕らは空を見上げてしまう。太陽では眩しすぎる光も、月の優しい眼差しであれば、僕らも微笑みを返すことが出来る。だからつい、探してしまうのだ。封
を開けると、様々な想いが蘇った。甘く幸福だった日々の思い出と、浪漫と哀愁。そして少なからぬ後悔も。だがしかし、全てが懐かしく、全ては愛しかった。あらゆるものの全てが、ただ愛しかった。冬
毛に変わった白兎が、小春日和に踊っていた。嬉しそうに鼻をひくひくとさせて、太陽の匂いを嗅いでいた。夢
のような、きらびやかな魔法を見た。それはシンデレラを迎えに来た、カボチャの馬車。貴女を舞踏会へと誘う魔法。運命の御者は貴女の手をとり迎え入れると、流星の鞭を振るい、馬車を走らせた。森を抜けて銀河を越えて、憧れの城、北極星へと辿り着いた。流
れていく雲を、ただ見上げていた。青空の美しさは変わらないのに、何か切なく感じてしまうのは、私の心が変わってしまったからだろうか?甘
く耳元で囁いたのは、天使だったのか、それとも悪魔だったのか。僕らの御先祖様は、この果実によって王冠を失ったけれど、代わりに翼を手に入れたんだ。心と未来にね。空
に咲く大輪の花は、光り輝く笑顔をふりまいて、地上をまるで楽園の如く照らしていた。陽光は天使たちが降りてくる階段であり、その温もりは、花が香るように優しかった。誰
でもが笑顔になる魔法を、ぼくは知っている。教えてあげるよ君に。ほら、スプーンでひとくち食べてみて。…ね?おいしいでしょ?馥
郁たる芳香が、光の中に揺れていた。口付けるたびに花は咲き、吐息の中で華やかに散っていく。その、魅力的な香りだけを残して。窓
ガラスを通して落ちる光は、まるで春の木漏れ日のようにやわらかく、冬の窓辺にあたたかい笑顔をもたらしてくれた。一瞬の空想は儚くとも、淡い君の微笑みは永遠に、僕の心を照らしてくれる。この陽光のようにさ。微
笑みをもっと、笑顔をもっと眺めたくて、私は貴女へと近付いた。薄衣の柔らかな感触や、静かな吐息を知ってもまだ、貴女の微笑みには近付けないでいる私は、やはり不粋なのだろうか。それともただ、愛に臆病なだけなのか。夢
を見た。またあの夢だ。雪の降るような寒い日に何故か、春の香りを思い出していた。咲き誇る笑顔と、眩しい笑い声。やわらかな陽光と、頬を撫でるそよ風。少
年は頭が良いようだ。高い塀の上では無く、なだらかな丘の、柔らかな芝生の上に座っていた。口
福という言葉があって、それは造語かも知れないけれど、僕はかなり気に入っているんだ。美味しいものを口にした時は、誰でもが幸福を感じられるだろう?初
月の夜。女王の眠る空は青く、星の輝く様はまるで、ゆらめく海の底に似ていた。あの深い瑠璃色は、月の夢なのだろうか?それとも静かな慈悲であろうか?王
は湖に黄金を溶かし、神々の黄昏を夢見た。ワーグナーが奏でる神話をその眼で見んとして、現世の瞼を閉じられた。小
雪舞う窓から、澄み渡る夜を見上げては、徳利を傾ける。ゆれるお猪口の中では、綺麗な星が踊っていた。雪
よりも白く清らかな心で、満月に跳ねるよ白兎。太
陽の気配。明日の息吹。まだ明けぬ漆黒を、迫り来る黄金が瑠璃色へと変えていく。星々が消えた重く冷たい暗闇は、ぬばたまの潤いを取り戻す。