月に歌うは、しなやかなる虎。竹林の風のような清らかさと、雲間から差す月明かりのような夢幻の残り香。目にした時よりも、口にした時よりも、喉元を過ぎたあとの淡い余韻が印象深く、吐息に残った思い出が、また此処へ足を運ぶ理由になる。
初めて嘯月に出会ったのは、祇園にあるせせらぎすへら。梅雨の時期、嘯月セットのきんとんは、紫陽花を模した朝の露でした。たまたま当時は毎週末のように京都を訪ねておりましたが、その度に、野に咲く紫陽花の彩りが移りゆくのと同じく、きんとんの彩りが変化していくのに感動を覚えました。
以来、ここが最もお気に入りです。(個人的に)心が穏やかでなければ暖簾をくぐれないと思っているので、足繁く通えるようになればと願います。
京都
嘯月 しょうげつ