太
陽をひと掬い。流れる雲のようなミルクと共に、光り溢れる午後を掬った。やわらかな光と温もりを、穏やかな君の隣りで感じながら。お茶のお代わりを頼もうと、僕は真鍮のベルを鳴らした。鈴の音は白い壁に木霊して、2人の微睡みに咲いた。
かぼちゃのプリン(pumpkin pudding)
大きな窓辺で過す午後も、静かな夜を眺めて寛ぐ夜も好きで、そのどちらにもこの店は、優しく対応してくれる。テーブル席でもカウンターでもソファー席でも、1階でも2階でも。君が独りでも、2人でも、友人や家族たちと訪れたとしても、きっと気に入ってくれると思うんだ。君が求めるものが、僕と同じだとしたらね。
どこか遠い夢の気配が感じられる空間は、イギリス領インドであった頃をイメージされたそうだ。店内に満ちる平和な空気は、大きな窓から差す太陽の光と、壁際に灯されたランプの明かりから生まれるのだろう。浮遊する音楽が、そこに優しさを添えていた。
ねぇ、君は紅茶の向こうに、一体何を夢見るの? どんな情景が見えているの?
カップに落ちた最後の一雫は、レコードに落とされる針の様に、僕たちが好きな音楽を奏で始めた。