A
u temps Fantastiques.Elle a l'imagination romantique d'une petite fille.
彼女は夢見る。少女の時に、抱いた夢を。それはとても甘く優しくうっとりとする、素敵な恋。
“あなた”が永遠でありますようにと。
Religieuse aux Fraises
日本の苺は品種改良を繰り返し、増々甘くなっています。それが多くの日本人の好みなのです。対して、フランスの苺はどうかと言えば、酸いも甘いも香りもあって、でもどこか大人しい味でした。
それって恋愛観にも影響しているのかな?なんて考えたけれど、たぶんそれは僕の気のせいで、パリの空気が僕に見せてくれた、妄想と空想の間のような、淡い幻想なんだと思うんだ。
今日のパリの空は久しぶりに青く、流れる雲は、綿菓子のように柔らかそうに見えた。何処かで誰かの、素敵な話しが、…そう、夢の続きが始まりそうな天気だよね。
『甘さを感じる感覚と、恋愛時の感覚はきっと、かなり近いような気がするんだ。女性の方が恋愛好きで、甘いものも好きな理由は、その感覚が男性より優れているからだと僕は確信している。女性が愛らしいのも、甘いものに目がないのも、脳や心の構造に因るものなんだ。
では男性はと言うと、大好きなお菓子は、子供の頃に食べていた、母の手作りお菓子だったりするワケで、それはきっと、初めての異性が母親だからだと思うんだよね。』
そんな話しを僕は、カフェで隣同士になった女性のヒマつぶしに付き合いながら喋っていた。
『じゃあ、あなたの好きなお菓子は何? やっぱり、お母さんの手作りなのかしら?』
カフェクレームを飲み干した彼女が、笑顔で質問した。
『僕は甘いものが大好きで、どれか1つなんて決められないけれど…決まり事が1つだけあるんだ。それは、女性に対する尊敬と優しさと同じものを抱いて、感謝しながら食べること。美味しく美しいお菓子は、素晴らしいものだよね。』
そう答えた僕に彼女は、信用ならない人ねと笑っていた。
『…ねぇ、もう1杯分だけお喋りに付き合ってよ』
当然僕も、そのつもりだよ。