颯
爽と現れた君は、白い一輪の花のように美しく、後ろ姿に静かな笑みを湛えていた。私はただ茫然として佇み、静寂に独り取り残された。微風にふと気が付くと、凛とした花が落としていった影は柔らかく、その甘い香りを頼りに私は、幽玄なる竹林の奥へと追いかけていったのだ。
Bamboo(Opéra au Thé vert)
実はこの店を訪れたのは偶然で、本当にたまたまでした。美しくシンプルな外観に興味をひかれて店内へと入り、薦められがままにバンブーをお願いしました。
抹茶を使ったオペラが珍しいとか、フランスで活躍する日本人パティシエが凄いとか、そんな感想は全く無くて_何しろ、誕生日とバレンタイン以外でお菓子を食べることが無い生活で、1人でケーキを食べるのも、そもそもパティスリやサロンに入ること自体が初めてだったのだから!_ただ、
『こんなものがあったんだ…』
そう呟きました。美しいと美味しい以外に、言葉が浮かばなかったことは憶えています。
…それは確か、5年前(2006年)の5月の出来事でした。